久々にホテルでランチ
前回のアップからまた1ヵ月経った。ほんとに日の経つのは早いと感じるが、彼岸過ぎというのに季節は一進一退して、なかなか本格的な春にならない。数日、5月並みの気温が続いたかと思うとまたほとんど冬に逆戻り。こんな気候で自分は例年にも増して寒がりになり重ね着が1枚増え、未だにそれを減らせないでいる。
でもよくよく観察すると、桜はまだようやく3~4分咲き程度だが、季節の歩みは確実に春に近づいている気配がする。今年もいつの間にか、庭の花壇のチューリップやノースポールが地中から芽を出し葉茎を伸ばし、雪柳が真っ白に枝垂れ、ブルーベリーやカリンの枝にも沢山の蕾がついて出番を待っている。
つい先日まで寒い日が多かったが、10日あまり前の晩春と思えるほどの暖かい日に、実に久し振りに、家内と渋谷まで足を延ばし、ホテルでの本格的なランチを楽しんできた。たまプラーザなど近所でのイタリアンや和食のランチは時たましていたが、都心まで出掛けてホテルのレストランでというのは何年振りかのこと。
近場で間に合わせていたのは、単に齢をとって出無精になったからというだけではなくて、家内の体調の問題もあった。転倒して背椎骨折という大怪我をしてから、電車駅での乗り降りに不自由し体力的にも無理が利かなかったが、2年半経ちやっとこの頃自信がついて来たということで、今回、演習も兼ねて遠出(?)してみることにした。
行き先は渋谷の国道246号沿いの「セルリアンタワー東急ホテル」の「クーカーニョ」というレストラン。昔東急グループの本社ビルが建っていたところで、駅から直線距離は近いのに電車と徒歩で行くとなると必ずしも容易いとは言えない場所だが、たまたま手に入ったペアランチの招待券利用ということだったので、他に選択の余地はなかった。
若いときだったら、あるいは自分独りだけだったら、地下鉄から外へ出るのにどれだけ階段があろうと、国道の交差点を渡るのに複雑な歩道橋を渡らなければならなかろうと、また歩くのに多少坂道が多かろうと、アクセスの経路にあまり思い悩まなかっただろうが、今回は、高低差があって人でゴッタ返す往来の歩行にはまだ杖とエスコートなしでは危険があると判断される家内と一緒なので、サテどうしたものかと考えた。
車ならばいちばん面倒なしかという考えは当然浮かんだが、郊外に向かうならいざ知らず、渋滞で悪名高い246や首都高速3号線の上りを来て渋谷で降りるのは、かつて何度も経験しているように所要時間が全く読めないので、アポや予約のあるときには止めた方がいいチョイス。おまけに、我が家の方向からだと、このホテルのパーキングに入るには一たん行き過ぎてからUターンしなければならず、ややこしさに輪がかかるようだった。
ので、結局電車(と降りてからは徒歩)を選んだのだが、田園都市線はどの駅にもエレベーターとエスカレーターが利用しやすい場所に設置されていて問題なかったのに対し、渋谷駅は、誰もが知っているように、地上へ出るだけでも一苦労も二苦労もあった。エレベーターはあるにはあるがまったく見当違いのところへしか出られないようだったし、エスカレーターも、地下街の奥まで進まないと見つけられなかった。
結局地上へはマークシティの入り口付近で出たので、そこから246の西口交差点方向に向かい、右折してしばらく坂を登ったところにあったホテル直結の歩道橋に接続するというエレベーターに乗り、246の上を渡ってやっとホテルエントランスに到着。予約していた時間の15分ほど前でちょうどいいタイミングだったが、出る前に胸算用していた所要時間よりも30分ぐらい多くかかっていた。
ランチではあるけれどもホテルのレストランだしドレスコードがあるかと思って調べたら一応“スマートカジュアル”ということだったので、フランネルシャツにセーターを重ねた上にコーディュロイのジャケットを着用し、天候が変わって寒くなったりするといけないからとご丁寧にコートまで羽織って行ったらそれでは暑過ぎた。
と、レストランに入るまでは何だかんだと苦労があったが、さすがは高級レストラン、座って落ち着くと地上40階からの素晴らしいパノラマビューと心地よいサービスで、スーッと疲れが抜けて行くような心地がした。ウイークデーだったせいか客もまばらで、ほぼ南向きの窓際の席からは眼下に代官山・恵比寿、やや前方に東から西にかけてスカイツリー・お台場・羽田などが一望でき、遥か彼方には横浜みなとみらいが霞に烟っていた。
料理はプロバンス・スタイルの“シェフのおまかせ”とあって何が出て来るか楽しみだったが、期待を裏切らない、凝ったしかも極上の味だった。オードブルから始まってメイン、デザート、コーヒーまたはティーと続くオーソドックスなコースだったので、近年とみに小食になった自分たちにはヴォリューミー過ぎないか心配していたが、美味しさの前にはそれは杞憂だった。レストラン自家製のミニパンも過不足なかった。
帰途の渋谷駅では、地下まで下りるのに来たときとは異なる経路を辿ったら、ほとんど階段ばかりで家内はまた一苦労。自分はもちろん最大限に支えた積もりだが、折角の楽しい機会だったのに辛い思いをさせてしまった。渋谷駅はいま大リニュアル中と聞くが、新しくなったら身体的弱者にも優しい駅になるように設計されているのだろうか?
しかしそれはそうと、自宅に帰り着くまで家内が元気だったのにはホッとした。電車は往復とも結構混んでいて、明らかに自分たちより若い人がほとんどだったが、みんなスマホいじりか居眠りを決め込んでいて、杖をついて覚束ない足どりの家内のことさえ知らん顔。そのうちさすがに、見かねた年配の方が席を譲ってくれて家内は座れたが、自分は往きも帰りも全線立ったまま。格好をつけて年齢不相応な服装と姿勢をしていたのが災い(?)したのだろうとはわかっていたので、痛し痒しというところ。
まあそれでも久し振りに、色々な意味で充実した一日ではあった。美味しい食事とサービス、室内の雰囲気と眺望には満足したねと家に帰ってから家内と語り合ったが、また行きたいかと聞かれたら答えはビミョー。あの店がもっと近くて楽にアクセスできるところにあったら間違いなくリピートするだろうが...。
日比谷・赤坂・六本木...さらにはニューヨークやパリなどで、二人ともドレスアップしてディナーに出かけていた20年くらい前までの日々が無性に懐かしい...。
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