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2013年7月 8日 (月)

ムッシュと老老散歩の日々

今年も早や前半が終わって暦は7月に突入。夏至は過ぎたが、いま時分は1年中でいちばん日が長いころ。朝は4時ともなれば東の空が白み始め、夕方は7時を回ってもまだ外は明るく、自分の子供のころ実施されたサマータイムを思い出す。
年寄りは朝が早いなどと言われるが、寝足りて早朝に目が覚めるわけではないけれども、前立腺の手術をしたせいなどもあって、どうしても、未明に一度トイレのために起きるようになり、それっきり眠れなくなってしまうことも再々だ。

ムッシュそれでも、そう思って悶々としているうちに、いつの間にか1時間くらいは浅い眠りに落ちて、束の間ながら心地好いひとときを味わえていることもあるのだが、近ごろはその楽しみさえ奪われるような事態になっていて、いささか困惑している。
朝は8時ごろまで熟睡していて、ときにはこちらが声をかけて起こすこともあったムッシュが、思い返せばこの春ごろから、ちょうど1時間早い7時前後には目を覚まし、ワンワン吠えて、“ケージから出してくれー”と催促するようになったのだ。

初めのうちは、様子見をするように、控えめに“ワンッ”と一声啼いては暫く沈黙し反応をうかがっているが、それを繰り返しても何も反応がないとなると声が“エンエンッ!”になって、沈黙の間が短くなり、啼き方もトゲトゲしくなってくる。
こちらは“ワンッ”のころはまだ夢うつつ、彼は1階で自分たちは2階だから、だいたい“エンエンッ!”に変わるころに気がつくが、なにぶんまだ6時台で洗顔・歯磨きもこれからというところなので、すぐに飛んで行くというわけには行かない。

本当はもう少し眠りを貪っていたいところなのだが、もしや何らかの理由で切羽詰まっているのではないかと、急かされた気持ちになって、結局、“ハイハイ、分かった分かった”と、アタフタ1階に下りて行くことになる。
セコムのセキュリティロックを解除し、全室のシャッターを上げ、窓から光を入れて、それからムッシュのケージを開けてやるのだが、彼は中で待ちかねた様子でピョーンピョーンとジャンプしていて、文字通り脱兎のごとく飛び出してくる。

多分、外で用を足したくて我慢していたのだろうと思い、早速、朝の散歩に連れ出すが、この時でもまだ7時前。こちらは洗顔はしたものの気だるさが抜け切れていないのに、ムッシュはすでにエンジン全開だ。
小走りに家の前の道を渡って、向いのマンション脇の遊歩道の定位置までくると、そこで彼は朝の大小ご用足しをしてお腹スッキリ。そのころにはこちらもようやく身体全体が覚醒して、頭の中もスッキリしてくる。

散歩のコースは一様ではない。だいたい5通りあって、歩数(自分の)にすると最短で7~800歩、最長で1500~1600歩、標準で1000歩前後といったところ。往復ではなくてほとんどが周回で、右回りのときも左回りのときもある。
その日その日のコース選択はもっぱらムッシュまかせだが、興味深いことに、ある一定のパターンで上記の5通りをローテーションしているフシがある。厳密に記録をとっているわけではないが、どうも、そのように思えて仕方がない。

何れにしても、朝のムッシュは元気いっぱい。嬉々として先に立ち、こちらはそれに引っ張られるようにして足早にならざるを得ない有様。これが、余程の雨降りにでもならない限り1年365日続いている。
朝ほどではないが、昼寝(ムッシュの)の後にも散歩に出るし、昼食後・夕食後にも、家の周りをそぞろ歩きする。これも朝同様、毎日のこと。自分は1日の適切なウォーキング距離を5000歩以上ということにしているが、大半はこれでクリアできている。

ムッシュはいま12歳。あと4カ月で13歳になるので、もはや老犬の部類に入るのだろうが、極小で童顔なので誰もそうは見ない。だから、散歩途中で会う初対面の人にはたいがい、幼犬扱いされて、“可愛いネー”などと頭をなでてもらってはテレている。
ただ、見かけはそうでも、長年付き合っているこちらには、やはり彼の体力の衰えはわかる。清里の森の中で暮らしていたときを含めて5年前くらいまでは、いまの倍はおろか3~4倍の距離を平気で歩いていたが、もうそんなことはすっかりなくなってしまった。

かつては、昼寝後の散歩でも、朝に優るとも劣らない相当な長距離を歩いたものだったが、いまはまったくその面影はなく、ちょっと家の周りをブラつくという程度。考えてそうしているわけでもないのだろうが、いつの間にかそうなった。
でも、それでいい。上手くしたもので、ムッシュがそうなって行く間に、こちらも残念ながら、年々目に見えて体力が低下してきた。わずか1年余り前までは、身体を鍛え直すの何のと威勢のいいことを言っていたが、いまは到底無理と自覚するようになった。

ムッシュはいま、人間の年齢に換算すると還暦と古希の間くらいのところのようで、現在の自分よりもまだかなり若いから元気なのもうなずけるが、気を遣ってやるに越したことはないと、ヒアルロン酸とコンドロイチンの入ったサプリも服ませている。
そのお蔭か、足腰は以前と変わらずしっかりしているのが嬉しい。自分も、若いころ野球でさんざん走り込んできたのが幸いしてか、足の老化はほとんど意識せずに済んでおり、いまのところムッシュとの付き合いに不自由はない。

しかしあと4年もすると、彼の換算年齢が自分の実年齢にちょうど並ぶ傘寿の坂に差しかかることになり、お互いの一つの山場となる。が、いまの調子だと、何だかそれも何気なく乗り越えて行けそうな気もする。というよりも、それ以外のイメージが湧かない。
能天気と言われるかもしれないが、いまのムッシュを見ていると、そしてそれに付き合えている自分を考えると、そんなに難しいことでもなさそうに思える。マア、そう思っていることが、そうなるためのいちばんの近道ということになるのかも知れないが...。

思いがけず今年は梅雨明けが早まったようで、このところ猛暑が続いており、この先が思いやられるが、何だかんだ言いながらワテら二人(正確には老人一人と老犬一匹)は、今日も何事か語り合いながら、老老散歩に出かける。

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