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2012年4月 2日 (月)

テレビで懐かしい店に出逢えた

テレビ東京の夜の10時台は、“日経スペシャル”と冠のついた「未来世紀ジパング」とか「ガイアの夜明け」とか「カンブリア宮殿」など、なかなか面白い経済特集番組が帯になっているので、タイトルによって、ときどきチャンネルを合わせている。先日も、“世界のスーパー新潮流:札幌・八ヶ岳・NY―ローカル・スーパーの逆襲...”という新聞の番組表の見出しに惹かれて、「未来世紀ジパング」を視てしまった。特にスーパー業界に興味を持っていたわけではないのだが、八ヶ岳、NY...と来たので、そこのスーパーなら若しかしたら、あの店が出て来るのではないかと期待を持ったのだ。
その回の内容は、日本でもアメリカでも、長引く消費不況で苦戦が続いているスーパーマーケット業界に、これから目指すべき方向を示唆しているかも知れない新しい潮流が生まれている...という話。“Every day low price”で世界最大の売上高を誇る巨大スーパーにのし上がった「ウォルマート」の戦略に代表されるように、世界中どこでもほとんどのスーパーは、生き残るためにとにかく低価格競争ということで凌ぎを削ってきたが、どうやらそれが限界に達して、地域密着型というか顧客要望特化型というか、そういった新たな方向に路線転換を余儀なくされ始めたということだ。

番組内で紹介されていたのは、そういう、売り上げや出店数などの規模を追求することなく、ひたすら顧客の要望に応えようと品ぞろえやサービスの充実に徹してきた、日米のいくつかのスーパー。日本では八ヶ岳山麓の北杜市や北海道の札幌市から、アメリカではオレゴン州ポートランドやニューヨークのアッパーウエストサイドからのレポートだった。札幌やポートランドのスーパーは、初めて聞く名前だったが、北杜市とニューヨークのそれは、若しや?と思っていたのがズバリ的中、よく知っている(どころではないお馴染みの)店で、あまりにも懐かしかったので、家内にも声をかけた。
ニューヨークの店以外はどの店も地方都市に所在するので、番組ではこれらをひと括りにして“ローカル・スーパーの逆襲”という見出しをつけていたが、確かにその、客との距離の近さと声の聞こえ方のダイレクトさ、それを反映した仕入れ・品ぞろえのユニークさとサービスのフレンドリーさは、都会のこの業態の店では忘れられた、地方ならではのものかも知れない。けれども、ここで取り上げられたニューヨークのスーパーにしても、大都会の真っ只中に位置する店であるにもかかわらず、そんな古き良き小売業者のローカリズムが、脈々と息づいているように感じられた。

さて、3年余ぶりにテレビの画面で出逢って懐かしさ一杯の気持になった八ヶ岳山麓のスーパーは、「ひまわり市場」と言って、わが山荘のある清里に隣接した大泉地区(下新居交差点近く)にある。清里には、なぜかスーパーというものが根付かず、開店してもほんの短期間しか存続しなかったので、この店には20年以上前に山荘を建てて間もなくから買い物に行っていたが、そのころの店舗は現在とは道路を挟んで反対側の場所にあり、建物は正直言って古ぼけて汚らしく、品ぞろえも雰囲気もいかにも田舎スーパー(失礼な言い方でごめんなさい)といった、パッとしない感じの店だった。
だから、たまにその近くに用事があったときに寄ってみるぐらいで、あまり積極的にそこで買い物をする気にはなれず、だいぶ長い間ご無沙汰していたが、3年半前に自宅建て替えのため半年間山荘暮らしをすることになったとき、久々に足を向けてみてビックリした。その2~3年前(2006年頃?)に現在の場所に移転し、店舗の建物・売場レイアウトだけでなく、品ぞろえから接客、サービスアイディアまで何もかもが一新され、とても魅力的な店に生まれ変わっていたのだ。代が替わったのか、資本が代わったのか、事情はよくわからないが、経営者が若い人になったらしかった。

富士山・南アルプス・八ヶ岳を望む高原のスーパーにもかかわらず、この店の一番の売りは新鮮な魚介類。中でも、毎週末のこの道50年というベテラン職人による本格鮨の手握りサービスと、年何回かの本マグロ解体即売会が大人気で、近隣だけでなく東京からも情報(社長がブログで発信している)を知ったファンが駆けつけるほど。番組では、その盛況と客の喜んでいる声が活き活きと伝えられていた。自分たちも清里で暮らしている間、ずいぶん足繁く通ったが、風光明媚な周辺環境だけでなく、まるで個人商店のような親しみのこもった応対が、とても爽やかに心地よく感じられた。
この店で特筆できるのは鮮魚だけではない。土地柄で、もちろん農産物や天然の食材も豊富かつ新鮮。調味料なども、中央では無名だが品質の優れたものが置いてあるし、パンやケーキも地元店の逸品を取り揃えてくれていて、都会のお洒落な店にヒケをとらない味を楽しめる。店外のフリースペースやアネックスでは、ときにイベントが行われたり、やはり地元の制作者の人たちが、手芸雑貨・アクセサリーなどのワゴンセールを繰り拡げていたりして、さながら自由なバザール的雰囲気も...。この店は、客ばかりでなく地元の業者も大切にし、地域に根差して共に栄えて行こうとしているという印象を受けた。

さて、番組に登場したもう一つの懐かしいスーパーは、ニューヨーク、マンハッタンのブロードウェイ80丁目にある「ゼイバーズ」。1934年(自分の生れた年よりも前!)に街の小さなお惣菜屋さんとして創業し、抜群の味と“最高品質の商品を適正な価格で販売する”というモットーで人気を博して大成功し、大きくはなったが店舗の場所も変わらずに現在に至っているという老舗で、いまではありとあらゆる食品・食関連用品を扱っているけれども、商売の原点となったオリジナルお惣菜は、tasting(試食)して買ってもらうという昔ながらのスタイルを愚直に守っている。
この店の名物としてテレビで真っ先に紹介されていたのは、自家製のスモークサーモン。自分たちも、ベーグルでサンドイッチにするため買い求めたことがあるが、抜群の美味。実際に遭遇したことはないけれども、あのブラピも常連客だそうな。それともう一つのこの店の売りはチーズで、世界中から仕入れた600種類もあるというチーズが、店の入り口からごく近い売場に、天井まで隙間なく積み上げられている。チーズだけではない。パンもケーキもジャムもコーヒーもジュースも、1階は食料品で溢れかえるばかり。そして2階へ行けば便利で面白そうなキッチン用品が、これも所狭しとばかりに並んでいる。

この店を訪れるようになったキッカケは、ネットやガイドブックの情報だったか口コミだったか忘れてしまったが、もともとは自分たちが、時間や形式などに拘束されずホテルの自室で気ままに軽い食事をするための食材(たいがいベーグルとクリームチーズとトマトかオレンジのジュースということになるが)を仕入れようとして恰好の店を当たっていたことが底辺にある。「ゼイバーズ」に行き着くまでにはそれが、街角の屋台だったりその辺のデリだったり、普通のスーパーだったりしたが、ここを知ってからは、他所では味も値段も満足できなくなった。何しろ、美味い上に滅法安いのだから仕方がない。
この店では、アメリカにしては珍しい親切を受けた忘れられない思い出がある。通い始めのころだったが、他の店でいろいろな買い物をした後で寄ったために両手が手提げ袋で一杯になっていて、そこで買ったものが入った袋をレジ横に置いたままカードにサインをし、間抜けなことにそれを忘れて店外へ出てしまった。が、何歩か歩いたところに店の人が大声を上げて追いかけてきて、それを手渡してくれた。そのときは有難いやら恥かしいやらだったが、あとで思い返して心が暖まった。あのまま気がつかずにホテルまで帰って来ていたら、そのときの旅はきっと心残りなものになっていただろうといまも思う。

家の建て替えや自分の病気続きで、外国にはもう5年近く出かけていないし、山荘へ行っても、ここのところ出無精と短期滞在ばかりでロクに出歩いていないが、先日のテレビ番組を視て、また「ひまわり市場」や「ゼイバーズ」に買い物に行きたくなった。
ニューヨークには、身体が本調子になるまでもう少しの間は無理かも知れないが、大泉にはこんどのゴールデンウィークあたりにでも行って、久し振りに鮨でも買ってきたい。

やっと暖かくなり、心身に活気が蘇ってきたので、そんなことも考えられるようになった。

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コメント

おお!やっと、腰も上がられて・・・八ヶ岳村には・・・仲間達が一気に増えたこの頃です。
一昨日とんぼ返りの往復をいたしました。

ひまわりの脇もバスで通ってまいりました・・・。
本当に・・綺麗になりましたよね~!

投稿: Mami | 2012年4月 2日 (月) 13時20分

中澤様
温かいコメントを拝見し、嬉しい限りです。

ゴールデンウィークには、ぜひとも八ヶ岳にお越し下さい!
ひまわり市場にも、ぜひお立ち寄り下さい!そのはお声をかけて下さいね!

ひまわり市場 なわ

投稿: ひまわり市場 | 2012年4月 6日 (金) 22時40分

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