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2010年5月 6日 (木)

一月遅れの山の春

今年のゴールデンウィークは終始良いお天気で、皆さま方はそれぞれにお楽しみだったと思うが、自分はいつもと特に変わらない毎日だった。この時期でないと休みがとれない立場にはもうないわけだし、どうせどこへ行っても混み合っていると思ったので、今回はのんびりと自宅で過ごすことにしたのだ。
代わりにというわけでもなかったが、その1週間前に今年初めて清里へ行って、山荘開きを済ませてきたので、ちょっと遅ればせながらご報告。本当は、そのまた1週間前(つまり4月の中旬過ぎ)に行く積りでいたのが、春には珍しい記録的な積雪を伴う悪天候と重なってしまい予定を延期したら、うまい具合に、今回のゴールデンウィークと同じような連日の晴天に恵まれた。

その日、横浜を出るときは、暑からず寒からず、程よい例年の4月の気温だったので、セーターの上には何も羽織らなくてちょうど良かったが、清里地方の天気・気温予報ではまだまだ連日、最高で5~6°、最低で-4°前後ということだったので、厚手のコートも用意した。でも、標高500メートルくらいの中央道談合坂SAあたりですでに、セーターだけでは肌寒い感じになっていたから、この季節に山へ向かうのは難しい。
平地では、遅咲きの八重桜などを除いては、サクラはもうほとんど見かけなくなっていたけれども、中央道沿線の山々は、木々の若芽の薄茶色と、開き始めの若葉の薄緑が、至るところに白くボカしたようになったヤマザクラの淡いピンクと混然一体になって、さながらパステル・トーンの風景画を見るような趣だった。都会ではもはや終りかかっている春も、山里では、そのときが真っ盛りと見えた。

いつもよりやや早く、午後1時半ごろ横浜を発ったので、5時ごろには山荘に到着。まだ陽が高かったし、それほど冷気も厳しくなかったので、落ち着いて開荘の作業ができた。毎年のことながら、もしや?と心配しつつ水廻りの要所々々を点検したが、ボイラーも床暖房も問題なく作動し、バスルーム・トイレ・洗面室・キッチンなどにも異常はなかった。
ただ1ヵ所、洗濯機の水道カランとホースの接続部分のどこかの水抜きが不十分だったと見えて、コックを回すと水が湧み出してきたが、部品調達も急にはままならないこの山の中で、下手に素人がいじくりまわして取り返しがつかなくなってはと思い、管理センターに点検を依頼した。ちょうど管理費の支払いやゲートカードの更新といった用事があったので、直接足を運び、親しくさせてもらっているAさんにお願いしたら、昨年もその部分のパッキング交換でお世話になったSさんが、10分も経つか経たないうちに飛んできて、すぐに修復してくれた。感謝、々々。

長い間留守にしていたので、室内も寝具なども冷え切っていたが、暖炉・床暖房はもちろん電気ストーブや布団乾燥機も総動員して暖めると、夜の帳が下りるころにはやっと人心地がつき、ムッシュも、冬季はいつも使っているペット用アンカを点けてもらって眠りに就いた。ただ、山荘のバスルームには床暖房のほかには暖房装置を付けていないので、さすがにこの時季は、身体が十分温まるまではバスタブから出られなかった。
...にしても、今年の春先の気象はちょっとおかしい。ここ八ヶ岳山麓では、4月中旬に20センチもの雪が積もったかと思うと、ところどころ大木が倒れるほどの嵐が吹き荒れたり...。我が山荘の庭でも、推定樹齢40~50年、径30センチ近くもある栂(ツガ)が1本根こそぎになってしまい、辛うじて傍のモミの木に支えられて斜めになっていた。径15センチくらいまでなら何とか自分のチェーンソーで処理できないこともなかったのだが、20センチ以上となるととても歯が立たないので、これも管理センターにお願いしたが、帰宅の翌日にはもう、処理済みの知らせがあった。仕事が早くて有難い。

ムッシュ 翌日は、カーテンの隙間から射し込む明るい朝の光に、早くから目が覚めた。ムッシュも1階で“もう起きてるよー”と啼き叫んでいるので、こちらもエイッとばかり起き上がり、普段より1時間以上早い散歩に出かけた。日陰にはまだところどころ雪が残っていたが、空気は冷たかったものの風はなく、真っ青な空から降り注ぐ陽光を一杯に浴びて、寒さよりもむしろ爽快さを感じた。ムッシュも久し振りに山に来て懐かしいのか、やたらと落ち葉の積もった地面をクンクン嗅ぎまわり、自分も、フィトンチッドを胸一杯に吸い込んだ。
シーズン前で、定住者以外にはほとんど人も車も通らないせいか、冬前や春先には別荘地内に平気でシカやウサギが出没するが、今回も、管理センターへ行った帰りに、目の前を悠々と横切って行く大きなニホンジカに出会った。ポニーほどの大きさは優にあったから、あれは大人だったと思うが、昨年秋にはムッシュとの散歩中に、ごく近所で、ピョンピョン跳びはねていた小ジカを見かけた。

春の八ヶ岳 その日は折角の好天だったので、まだ冠雪したままの八ヶ岳や南アルプスの絶景を愛でながら、いつもの「藤乃家」へ蕎麦ランチに。昨年の最後は温かい汁蕎麦だったので今回は久し振りに天ザルを頼んだが、良く冷えていい歯ごたえで、相変らずの美味しさに満足した。思い起こせば昔は、美味いものは腹一杯食べたいという思いがあって、よく大盛りを頼んだものだったが、今ではとてもそんなに食べられず、並で十二分になってしまった。美味いからこそほどほどにということもあるから、それでいいのだろう。
清里の森から八ヶ岳高原道路を下りてくると、高原大橋交差点を過ぎたあたりから石堂・若林交差点あたりまでの大泉の坂道の両側は、桜が満開だった。並木でも公園でもなく、民家の庭先の桜ばかりだが、程よく伸び拡がった枝一杯に花を咲かせ、平地では1ヵ月前に終わってしまったお花見を、思いがけず再度楽しむことができた。特に名のある樹ではないけれども見事に枝垂れた桜もあったので、カメラに収めてきた。

大泉の枝垂れ桜

長沢の鯉幟 日ごろの心掛けが良い(?)せいか、帰りの日も絶好のドライブ日和。だが、ウィークデーのため高速道料金は1000円にならないので、少しでも節約しようと通勤時間帯割引を利用することにした。そのためには、走行距離を100キロ以内に抑え、中央道を5時過ぎに降りる必要があったので、昼食を済ませ、ムッシュに少し昼寝をさせてから出発。急がぬ旅とあって、牧場通り・国道141号線経由でのんびりと、長沢の谷あいに渡したロープにはためく何百匹もの鯉のぼりを見に道の駅に立ち寄ったりしながら、久し振りに韮崎の市街地を通って甲府昭和ICから中央道に上がった。
実は今回の帰り途、須玉の「おいしい学校」のイタリアン・レストラン「ぼのボーノ」に1年ぶりに寄ってランチをして行きたかったのだが、当日あまりにも気温が上り過ぎて、暑い車内でムッシュを待たせるのは可哀そうと断念した。あそこは、直接室内から続いてはいないが、チョッと廻ればウッドテラスにも出られるのだから、ペット同伴でも食べられるようにしてくれるといいのに...。残念だったが、次の機会を待つことにした。

八王子ICを下りてからは、帰宅時のラッシュと重なったためかなりの混雑で、予定よりも相当遅れて自宅に到着した。それでも、清里にくらべれば横浜は十分暖かく、宵闇が迫ってきてからも余裕で、荷物下ろしの作業ができた。ムッシュも、夕飯の後に早速近所を駆け回って、車中でじっと大人しくしていたストレスを発散させていた。
翌日からは、またかとウンザリさせられる寒さと雨がぶり返し、それまでの三日間の晴天と暖かさがまるで嘘のようだったが、ゴールデンウィークに入ってからやっと、本来の四・五月(それ以上?)のお天気になったのは幸いだった。とりあえず自分たちは、良いタイミングで清里に行けたと思っていたが、この一週間もまた晴天続きで、レジャーに出かけた方も迎えた地元も、まことにご同慶の至りではあった。

標高1400メートルの我が山荘あたりの本格的な春は、実は、1000メートル前後の地帯よりさらに一月遅れる6月の初め。これまでたいがいの年は、ゴールデンウィークに行って次が6月中旬になり、いつも、せっかく庭に自生するタラの芽や山ウドの食べごろを逃していた。月末近くまでは広告電通賞の選考会があるので行けないが、次回の山荘行はたぶんその直後になるだろうから、今年は久し振りに野生の味覚を堪能できるかも知れない。
例年と特に変わったことがあったわけでも、したわけでもなく、わずかの間の滞在だったが、気候に恵まれた中で無事に山荘をオープンできて、まずは良しとせねばなるまい。

今年もまた、訪れる毎に、四季折々の山の便りをお届けする積もり。

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