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2008年8月 4日 (月)

引越し狂騒曲

先月の初めにしばしの休載宣言をしてからもう1ヵ月経った。そして、その理由であった自宅建て替えのための一時引越しを敢行して早や2週間あまり。
暑くて殺伐な都会の喧騒から離れた高原の暮らしで、このところやっと人心地がついてきたが、思えばこの数ヵ月、特にここ2ヵ月間の生活の目まぐるしさは、尋常の沙汰ではなかった。しなければならなかったことのあまりの多さに、引越しの当日は、体力は限界ギリギリにまで達し、何とか気力でもちこたえたものの、家内共々、まさにダウン寸前といっても過言ではなかった。

その日を当然予想して、それまでにも時間をかけて用意してきたつもりだったが、新居のビルダーと契約をし、旧居の解体工事のスケジュールが決まり、それまでに仮住まいに引っ越さなければならいという、あと1ヵ月半のカウントダウン状態に入ったあたりから、事態は一気にヒートアップ。
新居建築のための今後の諸日程の打ち合わせと、旧居解体とそこから引越すための段取り確認、そしてそれらに伴う費用の決済、自分の仕事関係のスケジュール調整、数ヵ月とはいえ住む場所が変るについての郵便・電話・電気・ガス・水道・銀行・ケーブルテレビ・インターネットなどに関する休止や一たん解約や変更や通知などの諸手続き、かかりつけの内科・歯科・整形外科・ペットクリニックなどのドクターたちとの相談などなど、家を建てるために引越しをするとなると、しなければならないことがこんなに沢山あったかと驚くほど。家内は毎日の家事を、自分は予定の仕事をこなしながら、これらをひとつひとつ遺漏なく進めて行くのは、実際、容易なことではなかった。

家内の日頃の苦労を思い知ったが、“ゴミ出し”も骨の折れる仕事だった。後から後から出てくる不要になった(というかそう決めた)衣類・本・紙製品・樹脂製品・皮革製品・金属製品・ガラス製品、そしてそれらのミックス製品、およびそのどれとも言えないもの――などを、横浜市の分別規準表と首っ引きしながら、毎日仕分けしてはゴミ置き場に運んだり門の前に出したりするのは、肉体的にはともかく、神経的には甚だくたびれた。
いわゆる“粗大ゴミ”は、間際の1~2ヵ月だけでも、若い家庭の1世帯分以上は優に出したと思う。その中には、大きくて重くて、男でも一人では到底動かせない大型家具なども多くあって、それを回収の前夜に2階から下ろしたり室外に出したりし、回収の当日には前の道路まで運んだのだが、正直言って、十分いい歳の自分たちにはキツかった(息子たちも1~2度、そのために来てくれはしたが、9割方は自分たちで動かした)。

しかし何といっても、このバタバタのハイライトは、2日間にわたった“引越し作業そのもの”。どうしても人まかせにできないものだけを自分で梱包し、あとは指示するだけで良いという「おまかせコース」とやらを頼んでいたので楽観していたのだが、予期せぬことが続出した。
なるほど、自分で梱包しなくてもいいということは、山のような蔵書や売るほどある食器類の梱包では大いに助けになった。が、“これは何ですか”、“これはどこ行きですか”、“これはどうしますか”と、朝早くから午後遅くまで6~7人の作業員に矢継ぎ早に尋ねられ、そのたびに右往左往しなければならないのにはホトホト参った。一人に対応しているともう一人の方がお留守になって、結局、指示不徹底のまま、その辺にあるものはどんどん箱詰めされ、積み出されて行ったため、自分たちは何がどうなったのか皆目わからなくなってしまう始末。家内と自分の2人が揃っていた1日目の午前中と2日目ですらそうだったが、自分が仕事で出かけなければならなかった1日目の午後などは、家内一人が、嵐に翻弄されるようなシンドイ思いをした。

2日目は、昼までに梱包と積み出しのすべてが完了したが、それまで自分たちは一瞬も、座る間はおろか喉を潤す間もなく、トラックが去って行ったあと、呆然と立ち尽くすばかり。終ってみて、この「M引越しセンター」という会社の作業っぷりは、確かに手早かったが、自分たちが求め、想像していたものとはだいぶ違っており、欲求不満が残った。
普通の引越しは、すべての家財を旧居のA地点から新居のB地点へ運ぶという単純なケースが多いからだろうか、ともかく早く荷造りして、積んで、運び、生産性を上げるというのがこの会社の方針らしく、顧客によって異なるはずのさまざまなニーズにきめ細かく対応するという感覚がなくて、それを事前に察知できなかったことが、後で悔やまれた。

自分たちの場合は、新居は旧居と同じ場所に、5ヵ月先に出来上がるので、その間ほとんどの家財はトランクルームに預け、当座(夏・秋・初冬)の衣料、身の回りの生活・仕事用品、貴重品、ムッシュ用品などだけを持って仮住まい(山荘)に移り、5ヶ月後にまた預けていたものを新居まで搬出してもらって自分たちも戻る――という、普通の引越しとはちょっと違うかたちになっているのだが、その根本的なことが、現場の引越し作業員にはよく理解されていなかったようだ。
仮住まいに持って行くものは、できるだけ、あらかじめ自分で梱包・上書きしておき、そこまでできなかったものは、トランクルーム行きの家財とは置く場所で区分していたはずだったが、未梱包で当日の指示も行き届かなかったものは作業員の判断で梱包・搬出されてしまったらしく、当座必要だったいろいろなものが行方不明になった。紛失したわけではなく、多分5ヵ月間、トランクルームの中で眠ることになったのだとは思うけれども、トラックが出る前にそれをチェックする機会がなかったのが残念だった。

数え上げたらいくつもあるが、一番困ったのは、引越し先の山荘の鍵。最後に家を出るまではしまい込むこともないと思い、玄関のシューズクローゼット上の小物入れの中に、他のキー(車のスペアキーなど)と共に入れておいたものが、その入れ物ごと、トランクルーム行きの梱包に入ってしまったらしい。幸いスペアキーを、「清里の森」の管理センターに預けておいたから良かったようなものの、そうしていなかったら一体どんな騒ぎになったかと、いま考えても頭が痛くなる。
もう一つは家内の衣服。必要になる可能性があるからと、梱包・入庫すべき他の衣服類とはわざわざ別にしておいた礼服が、やはりどこかにしまわれてしまった。これは1日目の搬出後すぐにわかったので、引越し会社の担当者にトランクルームまで行って調べてもらったが、最早わからなかった。その他にも、信じられないことに、使いかけのペットフード(生もの)や、家内が前日まで水を遣って育てていたセントポーリアの鉢植えまでが、どこかに詰め込まれ、倉庫へ行ってしまった。

この騒ぎの合間に、別口で、ピアノの搬出(専門倉庫での保管のため)とエアコンの取り外し(処分のため)そしてケーブル引込線撤去(一たん解約のため)の作業もしたのだから、なおさらややこしい。
間際までインターネットを使えるようにしておきたかったため、ケーブル撤去は最後の最後にしていたのだが、その前日に、エアコン処分業者が室外機取り外しの際にケーブルを切断してしまうというミスがあって、予定していた仕事上の送受信やネットバンキングができなくなってしまうという、とんだハプニングもあった。

一方、最終的に山荘の方に携行しようと思っていたものも意外に多くなって、かなりの部分、自分の車に積み込むのが無理なことがわかった。それで急遽その分は、次男とビルダーの営業担当者に預けて、後日ついでのときに持って来てもらうことに。
そのためにまた、その場で急遽、どうしてもその日から必要になるものと、少しは待てるものとの仕分けをしたのだが、ここでも混乱したらしく、山荘に着いて開梱してみたら、またまた、“あれもない、これも入っていない”が続出。買えば済むものもあるのだが、それには「長坂インター」の付近まで15キロほど車を走らせなければならず、ガソリン代高騰の折から、1週間後のまとめ買いの機会までの辛抱と相なった。

自分だけのことでも、てっきり携行してきたとばかり思っていた延長コード、LANケーブル、PCプリンター用紙、ホッチキスの針など、こまごまとしたものがいろいろと足りないことがわかった。
そんなテンヤワンヤの中だったが、インターネットがすぐに使えないと不便だろうと引越しの翌日に駆けつけてくれた長男が直ちに回線サービス側(NTT東日本)の設定をしてくれ、長男が帰ったその翌日には自分が、サポートを受けながら何とかプロバイダー側(イッツコム)の設定を済ますことができ、いまこうして使えている。ただ、無線LANカードが1枚足りないので、PCはまだ、電話コンセントに近い食卓の上に置いているが...。

と、まあ、引越しを済ますまではまことにたいへんだったが、日が経つに連れて、その思いも薄らいでゆく。よく考えてみると、この猛暑の時期に横浜を脱出できたことは、思いがけぬ幸いだった。あのままだったら、暑さでもっと体調を崩していたかも知れず、それを回避できたことは有難いと思わなければならないのだろう。
管理センターの人たちのアドバイスで、ここで長期間生活するための要領もチョッピリわかってきた。家内も、静かな環境の中で、溜まりに溜まっていた疲労とストレスが少しずつ癒えているようだし、引越しの最中は居場所も定まらなくて可哀そうだったムッシュも、いまでは毎晩グッスリと眠って元気回復。散歩も気持ち良さそうだ。

そうこうしているうちに、次男が忙しい週末の時間を繰り合わせて、預けていた荷物を届けに来てくれた。今週はビルダーの担当者も、打ち合わせを兼ねて、やはり預けていた荷物を持って来てくれるはずで、来週は再び長男が、無線LANの設定に来てくれることになっている。
みんなの協力のおかげで、多少の不便はあるかも知れないが何やら楽しみもありそうな、数ヵ月の山荘暮らしが始まろうとしている。さあ、自分としても今週からは、平常の仕事ペースに戻らねば...。

これから、東京の顧問先には月に2~3度、中央道をハイウエイバスで往復することになるが、それもまた楽しからずやというところ。ここでの報告は必然的に“山荘四季だより”が増えるかと思うが、このところご無沙汰していた“マーケティング随論”も、むろん忘れてはいない。
久しぶりなので思わず長くなってしまったが、以上、とりあえず近況報告まで。

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