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2008年8月26日 (火)

宴のあと

この2週間あまり世間の話題を独占した感のあった北京オリンピックが終った。頃を同じくしてここ数日、気温の低い日が続いているが、これで夏も終わるのだろうか。
テレビの番組も新聞・雑誌の紙面も、報道は連日、朝から晩までオリンピック一色だったが、今回はどうも夢中になってリアルタイムでウォッチしようというほどの気持ちにはなれず、ときどきインターネット上で結果を知っては、それをテレビのニュースでフォローするというぐらいの観戦のし方をしていた。

とは言っても、これだけ多種多彩なスポーツ競技がまとまって行われるオリンピックという機会に格別の興味を持っていたことはもちろんで、それぞれの種目自体は十分楽しんだし、日本選手の期待通りの成果、意外な好結果には興奮・感動して、予想を裏切った結果には率直に失望もした。
いくつかの種目については、選手(特に男子)の心身のひ弱さと指導者の力不足を見せつけられたし、連盟や協会の危機管理の甘さも知らされるところとなったが、いちいちそれらをあげつらうのは趣味ではないので、いまはひとまず、すべての出場選手と裏方さんに、素直に“ご苦労さま”とねぎらいの言葉を贈っておきたい。

人種・宗教や産業・経済、そしてそれらと複雑に絡み合う国際紛争と外交――こういったことをオリンピックと関連づけて論じる向きもあるが、それにも、自分としてはあまり与する気持ちにはなれない。
等閑視するわけではなく、それはむしろ、宴の終ったいまこそ、本来の場で真正面から取り組むべき問題ではないかと思うからだ。マスコミも、いつまでも余談や裏話やプライバシーがらみの五輪ネタを引っ張っていないで、もういい加減に元来の姿勢に立ち返り、そういった本質的な問題こそを追究して欲しい。

さて、わが山荘の森も、夏休みが終りに近づきつつあることもあってか、めっきり、家族連れの賑やかな声が聞こえなくなった。つい先週までは夕闇の木の間を通してあちこちに見えていた家々の窓の灯りもグッと数が減り、ムッシュとの散歩のときに顔を合わせていた人も、ムッシュのお友だちも、ほとんど見ることがなくなって、急に淋しくなった。
路傍をよく観察すると、ハギやアザミなど初秋の草花が咲き始め、庭にはイグチ系やハツタケ系の茸も頭を出し、ベランダの手摺りにはトンボがとまるようになって、秋が密やかに忍び寄ってきた気配が感じられる。

ムッシュ 清里のキノコ

そんなことを思いながら森で過ごしていた先週だったが、週の後半、久しぶりに、仕事と家の建替え工事の進行チェックを兼ねて、東京と横浜に行ってきた。時間を見計らいながら2つの用事をスムーズにこなさなければならなかったので、今回は早朝の7時前に、中央本線長坂駅から「あずさ2号」で新宿へ。
八王子までは、指定席はほぼ50%の乗車率で、周りはほとんどビジネスマンばかり。朝食をとらずに出てきたのでチョッピリお腹が空き、車内販売でサンドイッチとジュースを買い求め、車窓を眺めながらそれを頬張った。久しく忘れていたが、気分はちょっとした出張帰り。でも、昔は物足りなかったそんな朝食をもてあまして、少々残してしまった。

自宅の地縄 新宿に着いたのは、通勤客でまだごった返している時間帯だったが、山手線・田園都市線を逆コースであざみ野へ。駅からのバスを最寄りの停留所で下車し自宅に向かって歩いて行ったら、見えてくる景色が以前と違うので妙な感じがした。すでに旧居は解体され、完全な更地になっているのだから、それで当たり前なのだが...。
前向きなことをしているわけなので、淋しいとか空しいとか、前の家が懐かしいとかいう感傷は、特に湧かず、その日は“地縄”という工程の節目だったので、地面に張り巡らされた縄によるレイアウトの上に、新しく建つ家の姿を思い描いてきた。

前回、8月初旬に出てきたときほどではなかったが、東京も横浜もまだ十分に夏の暑さ。だが、レジャーの最盛期は過ぎたのか、前回見かけた華やいだ軽装のギャルたちの姿はほとんどなく、休みを終えてまた日常の仕事に戻ったという感じの、上着を抱え鞄を提げたビジネスマン諸氏ばかりが目についた。
昼前に、あざみ野から八丁堀へ移動。軽くランチをした後、15時半まで顧問先で、社員の指導と社長との意見交換。マーケティング・エージェンシーという業種柄、社内には夏休み明けの雰囲気などかけらもなく、こちらも仕事モードに本格的スイッチが入った。

そのあと新宿へとって返して、帰途は中央道ハイウエイバス。この時期でもまだまだ出かける人(あるいは帰る人?)は多いと見えて、各方面行きのどのバスも、ほとんど満席の予約状態だった。わが森の中は人の気配が薄れてきたが、観光地はもうしばらく人出が続くのかも知れない。
久しぶりの仕事は、森のスローライフに馴れてしまった身としては、疲れを感じなかったと言えば嘘になるが、そんな気持ちをシャンとさせる効果はあったようだ。1週間後にまた来ることになっているので、そのときまでこのテンションを維持せねば...。

朝早かったし途中から日が暮れたこともあって、帰りのバスの中では終始ウトウト。いつの間にか下車停留所の長坂高根に着いて、側道まで降りたら、家内とムッシュが車で迎えにきてくれていた。その付近はまだ、東京や横浜と変らない30度前後の気温だったが、家に向かってどんどん登って行くと一気に涼しくなり、わが家に着いた宵の8時頃は、20度近くまで下がっていた。
翌日からは平地でも一気に気温が下がったらしいが、清里の森も、日中でも20度前後の日が続き、厚手の長袖シャツだけでは寒くてセーターを着ている。天気予報によれば週明けからはまた少し戻るというが、果たしてどうなのだろう?

ここ2~3日の森は、めずらしく雷を伴わない冷たい雨が一日中降り止まないでいる。23日は二十四節季でいう“処暑”、すなわち夏の暑さが峠を越す、秋との境目だったらしいが、してみると季節とは、なかなか正直なものだ。

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