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2008年6月 9日 (月)

人情八丁堀界隈

顧問をしている会社の一つが八丁堀にあり、月に2回ほど通っている。その会社のホームページにもこのブログのリンク・バナーを貼ってあるので、「中澤功の気まま備忘ログ」で検索してもらうとわかるが、急成長中のダイレクトマーケティング専門広告代理店だ。
以前にも書いたけれども、昨年のちょうど今ごろ、DM DAYS NEWYORK 07に参加した際に偶然現地で社長のSさんと出会って以来のことで、早いものでもう1年近く経つ。

自分は長年、勤務地や主な活動範囲が千代田区・港区・新宿区あたりだったため、その間日本橋より東の方は、仕事で訪問先を往復する以外めったに足を延ばすことがなかったが、この数ヵ月は、昼過ぎの僅かな時間ではあるけれども、八丁堀界隈をブラつくことがある。といっても、新大橋通りと八重洲通りの交差点を中心にしたごく狭いエリアだけだが。
なので、まだまだわかったようなことは言えないが、この街、なかなか奥が深い。ところどころに江戸時代の史跡があり、何気ない佇まいの店を訪れても、創業の由緒を聞いて驚かされることがある。だいたいにおいて、八丁堀とか茅場町とか、亀島とか霊岸島とか、桜橋とか新川とか、町名・地名そのものが歴史を語っている。旧江戸市街地で由緒のあった町名を、○○北とか□□中央とか、西△△とか外××とか、実に味気ない町名に変更してしまっている区があるが、どうかこの辺りは、これからもそういうことのないように願いたいものだ。そうしないと、街から歴史の跡が消えてしまう。

ところで、この街に少し慣れてきた半年前ぐらいから、家を午前中に出て、昼食は現地に着いてからとるようにしている。その方が多少でも家内の手を煩わせずに済むし、ある意味で自分にとっての楽しみにもなるからだ。場所柄、この一帯には、美味しいものを食べさせてくれる店がいくらでもあるはずという読みもあった。
で、顧問先の会社に入館する1時間前に現地に着いては、ランチの店を物色しているのだが、この近辺は確かにそういう店には不自由しないものの、まだ、ここぞというところを開拓できていない。いまのところ、新大橋通りと桜橋通り(平成通り?)に挟まれた八重洲通りの南北各1ブロックぐらいしか歩けていないので、今後、亀島橋周辺も探索してみる必要があると思っている。

ともかく、そんな限られた範囲でも、表通りはもちろん狭い裏路地にまで、和・洋・中・エスニックとあらゆるタイプの店がひしめき合っているので、最初のころは迷いに迷い、何を食べるか決めかねるまま歩いているうちに残り時間が少なくなってしまって、結局あわただしくファースト・フードなどで済ますこともしばしばだった。が、毎回それではしょうがないので、いまではとりあえず、和食系の、それも麺類(ということは蕎麦か饂飩)というところに絞っている。
この辺りの店はどこも、サラリーマン・OLの味方というか、ランチにはリーズナブルな値段でヴォリュームたっぷり、カロリータップリのサービス・メニューを出してくれるので、体力全盛期の自分だったら大喜びなのだが、いかんせん、年令とともに淡白な味を好むようになり、かつ量もそれほどいけなくなっているいまは、有難いけれどもトゥー・マッチ。で、どうしても、無難な選択をするとそういうことになってしまう。

土地柄か、蕎麦屋密度はずいぶん高いような気がする。しかし、何店かに入ってみたけれども、山荘に行ったときにいつも訪れる山梨・大泉の藤乃家のように、ここなら通い続けたいと思うような店には、残念ながらまだ行き当たっていない。その点饂飩は、店の数は蕎麦屋ほど多くないが、最近は手打ちではなくともかなり舌触りの良いものが出回るようになってきているせいか、どこの店もまずまずだ。
そんなわけで、このところはだいたい同じ店で、薄味であまりヴォリュームのない紀州梅入りうどんなどを食しているが、それで一件落着というわけではない。たとえ2週間おきとはいっても、同じものばかり食べていたら飽きてくるし、だいいちそれでは、何でもありの八丁堀に来ている甲斐がないので、さらにサーチして、家庭料理っぽい和定食、パイ生地やパンそのものが美味しいオーソドックスなピッツァやサンドゥイッチ、あっさりスープのふかひれラーメンやヴェトナム風饂飩フォーなどが食べられるところを見つけたいと思っている。読者の方々も、ご存知だったら教えていただきたい。

この街にはまた、きっと美味しい和菓子屋さんもあるとにらんでいたが、そのカンは当っていた。気がついただけで2店。どちらも老舗っぽいが、一方が庶民的な感じなのに対し、もう一方はやや高級店。こういう場合自分は、どちらのタイプの店にまず足を向けるかというと、自分の柄からいってやはり庶民的な感じの方。山の手のお嬢様よりは下町娘が好みなのだ。アレ?そういう問題ではないのか。
その店は、新大橋通りから日本橋側に一本入った通称すずらん通りに面し、鍛冶橋通り寄りにあるが、店内に入るとどこか懐かしい雰囲気。大福・吹雪・おはぎ・黄身しぐれ・鹿の子といった通年ものから、道明寺・桜餅・鶯餅・柏餅・葛饅頭・水羊羹といった季節もの、そして海苔巻き・いなり寿司などまで取り揃えた、下町の正しい和菓子屋だ。ケース越しに、おかみさんと若い女性2人(たぶん娘さん?)がにこやかにしかしテキパキと接客し、奥にはご主人(あるいは息子さん?)が無駄口を叩かず(聞こえるわけではないが、たぶん)一心不乱に菓子づくりをしているのが見える。

気軽に好きなものを好きなだけ買えるので、これまでに数回立ち寄っているが、邪魔にならないときに店の歴史を尋ねてみたら、創業は明治時代だそうな。道理で、過不足のないほど良い甘味で、接客を含めた店全体の雰囲気にも、落ち着きが漂っていると思った。
自分が寄る時間帯は、仕事の帰りがけなのでだいたい遅い午後なのだが、時たま、今晩残業する部下への差し入れか、職場のみんなのオヤツなのか、近所の会社の中間管理職らしき小父さんや、制服をきたお姉さんたちが、まとめ買いをして領収書を書いてもらっているのに出くわす。こちらは別に急ぐ身でもないので全然気にせずに待っているのだが、そういうときおかみさんは気を遣って、後でそっと、袋の中にオマケを1個忍ばせてくれる。

何かと世知辛い世の中だが、そんな、ささやかな人情味を感じさせられたことが、この街に来るようになってから2度ほどあった。

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コメント

界隈の風情が浮かんできました。

天ぷらなどの和食、カレーなんかも美味しい所があったことを思い出し、空腹感に襲われてしまいました。^^;

投稿: 課長007 | 2008年6月11日 (水) 20時57分

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