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2008年2月18日 (月)

着道楽

朝日新聞の夕刊に「男の夢ファッション」というコラムがあるが、去る2月4日の、岡田斗司夫氏(評論家)の回を読ませてもらった。この人は多芸多才の旧世代オタクとして、その方面ではつとによく知られているらしいのに、自分はこれまで寡聞にして存じ上げなかったが、ヒョンなことがきっかけで、その名前と業績を知った。
すでにご存知の方もいると思うが、氏は、1年間で50キロ減量というそのユニークなダイエット体験を綴った「いつまでもデブと思うなよ」(通称“いつデブ”)という本を出して大ヒットを飛ばした人。自分は、別にメタボで悩んでいたわけではなかったが、昨年の秋口にたまたまその本をテレビ化した番組を目にして、氏の食事スタイルに大いに共感したのだ。本は買わなかったが、その顛末を語ったブログも拝見した。

昨年10月15日にも書いたので繰り返さないが、氏と動機は異なるけれども同じような“食事記録方式”によってウエスト3センチ減に成功した自分は、それからというもの、ささやかな自己満足的お洒落として、買ってからロクに経たないうちにはけなくなってしまっていた何本もの細身のパンツを、取っ替え引っ替えしては、独り悦に入っている。
夏冬それぞれ数色・数タイプあるものを、やはり同じくらいあるジャケットやセーターとコーディネートしようと思うと、なかなかこれが悩ましい(お気楽だネ)のだが、それでも何とか、行く先・目的そしてそのときの自分の気分に合わせて、毎回異なったコンビネーションで出かけることにしている。が、その度ごとに、家内にひとこと突っ込まれる。“今日は何のコスプレですか?”と。コスプレじゃあなくってTPOだっツーの...。

前置きが長くなったが、岡田氏もウエストが79センチになって(ちなみに自分は78センチ...誰も聞いてないか)、いろいろな持ち服の組合せでお洒落を楽しんでいるようだ。自分がそうありたいと思う人物のイメージを表現し、その人物の気分になりきるためにいろいろ考え、工夫し、それを “コスプレ”と称して、文字通り“遊んで”いる。
氏とは、会ったこともないし年齢も親子に近いほど違うが、このコラムを読んでまた、そんなところにも相通じるものを感じ、いっそう親近感が深まった。自分だけでなく、家内もそう思ったらしい。実はこの新聞記事、最初は家内が見つけて、“これ読んでごらんなさい。面白いわョ。あなたのような人が他にもいるのネ。”とまわしてくれたのだった。

生来アルコールがダメで、ギャンブル(と言ってもマージャン程度だが)の類いは結婚とともに足を洗い、タバコはとうの昔に止め、食事にもすっかり淡白になって、ゴルフに遠出したりジム通いはおろか、ダンスや楽器いじりを再開するほどの元気もなく、かつての道楽者も、いまではせいぜい、iPodとカラオケとコスプレ(オットそうではなかったTPOだった)を楽しんでいるだけだが、そう楽しみが限られてくると、どうも、どれか一部が極端に突出してしまうものらしい。
他人事ではなく自分の場合も、それが“着る物”に行っているようだ。もともと“着道楽”とは自他共に認めており、この20年間くらいで、体型が変ったため不要になったコートやスーツやジャケットやパンツを、折りがあるたびにフリーマーケットに提供したり、リサイクルに供出したりしているのだが、それでも、自分のウォークイン・クローゼットの中には一向に空間ができず、それどころか、もと息子や娘たちがいた部屋のクローゼットまで占領する始末。

原因は自分でもわかっている。毎日オフィス通いをしていた時代に着用していた何十着ものスーツ、ジャケット、パンツ、コートを、まだいくらも着ていなかったとか、結構いい値段だったとかの理由で、処分を決断しかねているところに、それを忘れてどんどん新しいものを買ってくるからだ。
一時期、その傾向を自分でも反省して、新規購入を自重していたのだが、最近はアイテムをパンツやシャツなど嵩張らないものに限るよう気をつけてはいるものの、頻度や点数は前よりもややエスカレートしたかなという感じがしないでもない。自分でも始末が悪いと思っているのだが、どうにも止められない。

本当にお金持ちでお洒落な人は、何を買おうとどれだけ買おうと頓着しないのだろうが、そうではない自分も、ここ何年か(いや昔からだという説もある)、何か買い物の予定があって出かけたときに、予定外のものまで、それも似たようなものをいくつも、買い込んでくるようになってしまった。気に入ったものがあった店では、同じデザインの色違いとか、同じスタイルの生地・縫製パターン違いとかを、一度にまとめて購入してしまうのだ。
同時に複数点購入する場合もあるし、あらかじめ自戒して最初は1点だけに止めておきながら、やっぱりもう1点の方も欲しいと、一たんその場を立ち去ってから考え直したあげくに戻ってくる場合もある。

つい先日も、特に何か目あてがあったわけでもなく仕事帰りに立ち寄っただけだったが、二子玉川にあるデパートの中の「ジョゼフ・オム」という店で、この寒さだったらまだ当分はけそうなグレーの起毛コットン・パンツを見つけた。その店では、昨年冬になったばかりのころに、スタイルもドンピシャ好みで、はき心地もすばらしく良い、シルク混ツイードのパンツを手に入れることができて、同じ型の色違いか生地違いがあったら何れ買おうと思っていたので立ち寄ったわけである。
で、姿見の前でそのパンツを試着していると、売場のお兄ちゃんが声を潜めて、“失礼ですが、中澤さんのお歳でウチのこのサイズのパンツをはきこなせる方はいませんよ。”などと言う。お世辞とはわかっていても、満更でもない気持ちがして“そうかい”と答えると、兄ちゃんすかさず、“そのタイプがお好きでしたら、きっとコレなんかもお似合いになると思いますが...”と、もう1本、ベージュのベルベットのカーゴ・パンツを差し出した。“どうぞ試着だけでも...”と勧められて、はいてみたらこれが結構いい。でも、“またいつものパターンを繰り返してもなあ...”と、一たんは最初の一本だけにしようと思ったのだが、結局、気に入ったものを買うのは、多ければ多いほど満足感も大きくなるだろうと、2本とも買ってしまった。兄ちゃんの殺し文句にしてやられた。

そんな買い方を、その店の隣にある「カルバン・クライン」でも、昨年の夏にしているし、その前の年には別のデパートの「ゴルチェ・オム」でも、同じ買い方をした。足は2本で、イカやタコじゃあないんだから一度に何本ものパンつが要るわけでもないのに、どうしてそんなに買い込むの?と周囲はもはや呆れ顔。理由を聞かれても、自分でも答えに窮する。

そんなことで、いつも“今日は何を着ようか”などと非生産的なことばかり考え、セッセと着替えているわけだが、まあここまでくると、岡田氏とはまた違う意味でのコスプレと言われるのも仕方がないのかも知れない。自分では、誰に迷惑をかけるわけでなし、そんなに変った趣味というほどでもない、ただの“着道楽”だと思っているのだが。

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