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2007年10月 8日 (月)

郵政民営化

今月一日からいよいよ、旧日本郵政公社が完全民営化し、「日本郵政グループ」(日本郵政株式会社)として発足した。仕事柄、この企業がこれからやろうとしていることには大いに関心があるので、どんなことを発信しているかと思い早速ホームページを開いてみたら、スローガンが“あたらしいふつうをつくる”、メッセージが“ひとりを愛せる日本へ”ということで、何だか前内閣の“美しい国”みたいな感じがし、いまひとつピンとこなかった。が、多分前者は、国営でなくなったことについての自己確認なのだろうし、後者は、合理化を追求するだけでなくてユニバーサル・サービスも変らず維持してゆくという気持ちを表したかったのかも知れない。
それはさておき、既報されているように、このホールディング・カンパニーの下には、郵便事業会社、郵便局会社、郵貯銀行、簡易生保の4つの株式会社が配置されているが、この中で自分が最も注目しているのは、専門分野であるダイレクトマーケティングと極めて関係の深い郵便事業会社(JP日本郵便)。なので、その部分のコンテンツが完全民営化を機にどう変ったかに非常に興味があり、ちょっと覗いてみることにした。

けっこう他国のケースも研究し検討したに違いなく、トップページの構成は米欧の主要な郵便事業会社・公社のそれとよく似ている。よりシンプルにまとまってはいるものの、シンプル過ぎて味気ない気がしないでもない。どちらかと言えば一般個人ユーザーを最大・最優先的に意識しているつくりで、“商売っ気”があまり感じられない。やはり、これまでのように、公共事業という性格をまず打ち出さざるを得ないのだろうか。
郵便局会社は確かに、そういう部分をないがしろにはできないだろうが、この事業会社は、自らグループ全体の40%にあたる約10万人の社員を抱えつつ、郵便局会社がユニバーサル・サービスのクォリティを維持するためのサポートの役割も果たさなければならないわけだから、積極的に収益を上げる事業展開をして行くという意味で、もっともっとビジネス・ユーザーにアピールしてもいいと思うのだが。

精一杯アピールしているという反論もあるかも知れない。トップページの大項目の一つ、「ビジネス・法人用サービス」という見出しのついた入口ボタンは、なるほど、目立っていないことはない。でも、「USPS」「カナダポスト」「ドイツポスト」などと比べると、ビジネス・ユーザーに対する訴求はまだまだ控えめで、具体性も足りない。
その見出しの下に記載されている3つのサブ・カテゴリーは、「メールメディアサービス」「エクスプレスサービス」「ロジスティクスサービス」という、彼らの側から見た“商品別”になっていて、ユーザーにとってどういうことに役立つのかという“目的別”になっておらず、そこから入った時に目に飛び込んでくるメッセージ、得られる情報も、必ずしも、求められ期待されているものと噛み合っているとは思えない。

新事業会社自身、ビジネスの柱となるのは、既有のインフラ、ネットワーク、人的資源を活かすことのできる“コミュニケーション・メディア・ビジネス”(早い話がダイレクトメール)と“物流ビジネス”だと当然わかっているはずで、事実、物流の方は、「ゆうパック」などの商品を武器にした既存市場・チャネルでの猛烈なシェア拡大攻勢が展開されているが、もう一方のダイレクトメールについては、“認識再啓発”、“用途拡大提案”、“新市場開拓”といった本格的テコ入れについての意気込みが、今のウエブサイトからはなかなか伝わってこない。
それでも、「メールメディアサービス」を開くと、「ダイレクトメディア」というカテゴリーに「DMファクトリー」というコンテンツが入っている。これは公社時代から存在し、この種の事業体にしては異色のものと自分も注目しており、その存在自体は大いに評価していた。しかし、巨大民間事業会社となった今では、その“方向付け”(ビジネス・コミュニケーション全体の中での“ダイレクトメールの位置付け”と“ターゲット・ユーザーについての想定”)にちょっと物足りなさを感じる。

「DMファクトリー」のコンテンツを概観するかぎりでは、どうも初めから、適用目的とターゲット・ユーザーを“限定的”に、したがってターゲット市場を“過小”に認識しているような印象を受ける。ダイレクトメールというものを、無意識のうちに伝統的な立場だけから近視眼的に見てしまっていて、その“つくり方”とか“レスポンスを高めるテクニック”といったハウトゥーの方向にばかり関心を集中させているような気がするのだ。
もちろん、そういう市場も、そういうコンテンツも大事だが、新事業会社にとっていま最も必要なことは、ダイレクトメールがこの時代必須の、汎用性あるコミュニケーション・システムとして、年間6兆円とも言われる巨費が投下されている広告市場の一角にしっかりと根付くように、あらゆるマーケターの認識を新たにさせることではないかと思う。そしてそのためには、このサイトを通じて、ダイレクトメールが、“どんな業種・業態”の企業の、“どんな目的”のために、“どんな機会と段階”に適用されて威力を発揮するのかという、根本的かつマクロな視点からの“利用啓発コンテンツ”を発信して行く必要があると思うがどうだろう?

言うまでもなく今は、販売だけでなく顧客の形成・維持とそれによるブランド・ロイヤルティの確立をマーケティングの目的とする時代。そしてその目的を達成するためには、マスメディア広告だけでなくワントゥワンメディアによる個別直接コミュニケーションが不可欠というのが常識。そのプロセスにおいてダイレクトメールは、インターネットと共に、単に広告メディア・ミックスの一つのオプションとしてではなくて、マスの関係から個の関係への架け橋になるという点で重要な役割を果たす。そこに注目を喚起し、投下する費用をシフトすべきと提言する必要があると思うわけだ。
と、ここまで来て、念のためにもう一度よく読み返してみると、DMファクトリーにもそういう意味のことが全く書かれていないわけではない。が、それを最重要ターゲットに対する訴求ポイントとして際立たせていないので、物足りなさを感じたわけだ。

決して簡単なことではないと思うが、このコンテンツを再検討してみてはどうだろうか?まずはポジショニングを一転して、ネーミングも一新し、視点を変えた新情報も加えて、全マーケターにとっての“ソリューション・センター”的な情報/コンサルティング・サイトにするといいかも知れない。ビジネス・ユーザーはどんなメディアよりも頻繁にインターネットに接しているはずだし、後は、そういうユーザーがソリューション情報を求めてブラウジングしているときに、このページにヒットするような何らかの仕掛け(いろいろ考えられるはず)を施せばよい。インターネットはダイレクトメールにとって、競合ではなくて利用し合うべき存在なのだから。
これは机上の空論ではない。事実、海外の郵便事業組織体も、伝統的なダイレクトメール・ユーザーだけでなく新しいメジャー・ユーザーを開発するために、ホームページのビジネスユーザー・セクションの情報・コンテンツの充実に非常に力を入れている。USPSの“Success Stories”、カナダポストの“Integrated Solutions for...”、ドイツポストの“Best Practice”といった事例紹介も、そのための効果的な戦略の一つに違いない。

ただしこれには、同時に別の面での難題をクリアしなければならないという前提条件がある。それは、郵便料金の合理化と郵便物の形状・表現の自由化。どこまで可能かはわからないが、考え方はいろいろできるはずだ。それによって、マーケティング・コミュニケーション目的でのダイレクトメールの利用度は飛躍的に高まり、たとえ単価を下げたとしても、それに見合う採算は十分とれるようになるだろう。ぜひ、念入りな検討と調査、そしてできればテストとシミュレーションを勧めたい。

オット、頼まれもしないのにツイ世話焼き癖が出て、勝手な能書きをタレてしまったが悪しからず。拙案に限らず知恵を出し合って、ダイレクトメールについての認識と発想をこれまでとガラリと変え、それによってこの事業を採算ベースに乗せることができたら、まわりまわって国民一般のためにもなってくると思うのだが...。
イヤハヤ話しがデカくなり過ぎた。ともあれ完全民営化のスタートを祝し、今後を期待して見守ることにしよう。

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コメント

拙ブログの一昨日の記事が見事にシンクロ致しました。^^;

投稿: 課長007 | 2007年10月13日 (土) 19時03分

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