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2007年7月23日 (月)

食品メーカーの体質

中国の“ダンボール入り肉まん”事件は論外だが、日本国内でも、さかのぼれば「雪印」、ついこの間は「不二家」、そして最近の「ミートホープ」と、人の健康・生命に関わる業種なのに、食品関連企業での不祥事が多過ぎる。マスコミの話題になっているのは数社だが、あえて“多過ぎる”と言っているのは、こういった事件で明るみに出るのは恐らく氷山の一角に過ぎないと思えるからだ。
もちろん、良心的なメーカーも多いとは思うが、この業種の企業体質の深いところに、何か消費者の理解できない“業界常識”が沁み込んでいるのではないかと勘ぐりたくなる。

引き合いに出すのはもしかしたらお門違いかも知れないけれど、つい最近、自分の身辺でも、食品(具体的には洋菓子)の購入に関して、チョッと引っかかることがあった。
翌日の午前中に来客があるという日の晩(7時40分ごろ)、家内が近所のT百貨店の食品売り場で、「M」という洋菓子メーカー(神戸に本社がありロシア風の社名)の売り場で、ショウケースに並べられていたレア・チーズケーキ(ホール)を購入した。素人考えかも知れないが、買ってから丸一日ぐらいは保つだろうと思ってのことだ。で、支払を済ませ、包装された商品を受け取ろうとすると、“今晩中にお召し上がり下さい”と言われたそうな。
今晩中って言われたってあと4時間くらいしかないし、その時間内では自分たち古稀の夫婦がどう頑張っても食べきれない。明日の午前中ぐらいは大丈夫だろうと思ってそう家内が問い返すと、“イエ、今晩中です”とダメを出されたという。

代金は既に支払って品物は受け取ってしまったし、“あと4時間のうちに食べなければならないのだったら要らない”とも今更言えないと、家内は、その場は一たん引き下がったが、どうも釈然としなかったらしく、帰宅してからその売り場に電話をして、なぜ先に(これを下さいと言ったときに)、“賞味期限は本日中(すなわちあと4時間)ですがよろしいですか?”と言ってくれなかったのか、また、どうして賞味期限まであと4時間しかないものを何の表示もせずに売っているのか?という意味のことを申し立てていた。
自分も傍らでそのやりとりを聞いていて、“今晩中に食べ切らなければならないものだったら、それと知らずに夜の8時近くに買おうとしたお客さんには、先に言ってくれるのが店の親切というものじゃあないのか?”と思っていた。

しかし相手(販売員)は、品物を渡すときに(賞味期限を)言うのが、そしてそれをあえて事前表示しないのも、会社の方針であり、特にそのことに問題があるとは思わないと言うばかりで埒が明かず、やりとりが感情的になってきたので、自分が代って電話に出た。
だが、話は結局同じことの繰り返しで、販売員は定められた会社の方針に従っているだけということがわかってきたので、その方針の拠りどころについて責任者の話しを聞きたいと思い、電話を要請した。間もなくM社の「東京支店」営業部長と名乗る人物から電話がかかってきたので考え方を聞くと、要するに、タイミングはどうあれ“今晩中にお召し上がり下さい”と断ることで食品メーカーとしての説明責任は果たしており、それ以上のことは考えられないということだった。

そこで、「C鮨」(首都圏一円の百貨店・スーパー・ショッピングモールのインストア店、繁華街・盛り場のロードサイド店などを手広く展開しているテークアウト寿司チェーン)では、すべての寿司のパッケージに貼ってある価格シールに、製造日(当日)と時刻(1日2~3回転するようだ)とそれに伴う賞味期限(時刻)が記載してあり、期限が4~5時間以内になるとその分は値引きをしているし、「Hフルーツ」(同じT百貨店内に販売店がある青果・和洋菓子チェーン)では、当日製造のフルーツケーキを、閉店1時間前くらいになるとやはり、売り切りのために価格サービスをする。どちらの場合も客はそれを事前確認して、納得の上で購入しているが、そちらではそういうことを考えないのかと、消費者としての素朴な質問をしてみた。だが意見が噛みあわず、結局それはできないという結論。

この一連の会話でわかったことが一つあった。この会社のレア・チーズケーキは、前日製造したものを当日の朝店頭へ配送しているということ。それなら尚更、注文を受けて、品物を包装し、代金を受け取り、引き渡してからではなくて、事前に、賞味期限を表示しておくか、口頭で断るかしなければならないのではないか?あるいは、製造・配送も前日だけでなく当日も、何度も小まめに行うべきではないのか?そう疑問を提したら、その東京支店営業部長は“ご意見は承っておきます”という答えで、基本ポリシーは譲らなかった。
これは、食品メーカーに限らず自社の製品に自信を持ち過ぎているトップ・メーカーによくある顧客対応で、消費者ではなく自分たちの立場からしか物事を考えられず、自分たちの基準で決めたルールが絶対に正しいと思い込んで(あるいはそう信じさせられて)いることがよくわかり、販売業・サービス業などの場合の顧客対応とくらべて違和感を禁じ得ず、これだから時に取り返しのつかないところまで行ってしまうのかなという気がした。

なお、仕事上の参考にもなるので、この件についての会社としての公式見解を文書のかたちで欲しいと要求したら、2~3日後に、同社の「お客さまサービスセンター」室長の名義で手紙が届いたが、内容は東京支店営業部長との対話とほとんど同じ。問題を店頭販売員の“説明不行き届き”というところに結論づけ、“今後は「お早めにお召し上がり下さい」というご案内を確実にお伝えするように努める所存”と結んでいた。が、“事前に伝えるようにする”とは一言もなく、東京支店営業部長に対して提示した自分の意見は、型どおり、“今後の参考に”という受け止め方をされただけだった。

この会社のホームページに記載されている社長の言葉を見ると、“すべてはお客様の笑顔のために”というスローガンを掲げ、“顧客満足活動の強化”を高らかに謳っているが、あれからしばらく経った今も、店のショーケースには何の変化もない。

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