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2007年4月23日 (月)

SP(セールスプロモーション)広告賞をどう考える?

毎年、もう寒さはブリ返さないだろうと思える頃になると、「広告電通賞」の選考会が始まる。例年4月・5月の2ヶ月にわたって、予選会・最終選考会・最終承認総会と3つの審査ステップがあるのだが、今年もまた先週末にその予選会があって、汐留に足を運んだ。
自分はこのアワードのSP部門の選考委員の一人でもあるので、昨年4月27日のブログにも書いたように、“広告”賞という概念の中にSPをどう位置づけたらよいのか、何を基準に評価すべきなのかということについては、かねがね問題意識を持っており、これまでも問われるままに、また問われなくとも、さまざまな機会に自分なりの意見を述べてきた。

そのポイントは、要約すれば、“SPは「メディア」ではなくてマーケティングの「目的」だから、アワードの部門として「雑誌」「新聞」「ラジオ」「テレビ」「ポスター」「インターネット」などのメディアと同じライン上に位置づけられているのには基本的に違和感がある”ということと、“その評価の基準は、「創意性」や「話題性」は当然のこととして、「ROI(費用対効果)」にこそ最も重く置かれるべきではないのか”ということの2点だったが、事務局や他の委員の中にも同じような見解を持った方々はおられたようで、本年からは、このSP部門の中での応募区分と審査基準が全面的に改新された。

昨年までの応募区分は、マス4メディアにならって歴史的に、“業種別”に3分類されていたが、それが今年からは、“プロモーション目的・タイプ別”に三分類されることになった。これまでは一つの応募区分の中で、プロモーションの意図やタイプの異なる、したがってキャンペーンや作品の規模も異なるもの同士が比較評価される不公平感が避けられなかったのを、同一タイプ・同一規模の作品は可能な限り同じ土俵上で競うことができるようにと、応募区分の視点を改めたのである。
そうするとまた選考のポイントも、必然的に、区分ごとに異なってくることになって、結局、新しい応募区分と審査基準は次のようになった。

応募区分は3つあって、第1区分は、消費者の店頭での直接購買を促すことを目的とし、店頭ツールやデモンストレーション、景品・懸賞・クーポンなどを使った“購買喚起型”のプロモーション。第2区分は、屋外広告・イベント・サンプリング・PRなどのかたちで、消費者にマスメディア以外の場でのインパクトある体感・体験をさせることによって購入への波及効果を狙う“話題喚起型”のプロモーション。そして第3区分は、認知拡大・購買喚起・ブランド理解・口コミ等の複合目的のために、複数のプロモーション手法およびメディアを組み合わせて消費者の行動を喚起する“複合展開型”のプロモーション。
審査基準は、全区分に共通する①商品(ブランド)との整合性はあるか②核になるアイディアに独創性があるかというポイントのほか、各区分それぞれに、第1区分では①戦略的に購買を喚起する仕組みになっているか②(売り上げなど)高い効果をもたらしたかという点、第2区分では①インパクト・話題性があったか②そのインパクト・話題は二次的効果を喚起したかという点、そして第3区分では①メディアやプロモーション手法が戦略的に組み合わされているか②それが(売り上げなどの)より高い効果の発生に反映されたかという点、などに細分された。

採点もその結果、各個の選考委員が、どの応募区分においてもすべての作品を、これらそれぞれの四つの基準にしたがって評価して、上位3作品だけに順位に応じた点数を与え、各作品の合計スコアを算出し、さらに全選考委員合計のスコアを算出する(この説明だけでは理解しにくいかもしれないが)ということになり、正直言って非常に面倒ではあった(何度もキャンペーン概要に目を通し作品ボードを見返した)が、これまでとくらべて視点がきわめて多角的になり、自分などが考えていることも反映されている部分が見えてきたように感じられて、かなり納得はした。

ただ、前のブログにも書いたように、いま自分が関わっている部門の応募作品は、そのうちのある一部の作品、または大部分の作品それぞれの一部分を除いては、“SP広告”として受け止めるにはどうもシックリとこない。このアワードの歴史的事実の延長線上で“メディアタイプ別”に考えるならば、これらは実態として「マルチメディア・キャンペーン」ということになろうし、それらとは視点の違うこの「SP広告」や「公共広告」などのように広告を“目的別”に考えるならば、「ブランド認知広告」「レスポンス広告」「複合目的広告」といった部門区分もあってしかるべきではないかとも思う。

もっと言うと、「ダイレクトマーケティング」と同様に「セールスプロモーション」も、「広告」という概念の基準に合わせ枠内に収めようとするには無理があり、したがってそれぞれのアワードは別々に存在すべきではないかと、自分は思っている。広告は確かにメディアの進化と共に歩んできたが、ダイレクトマーケティングにとってもセールスプロモーションにとっても、メディアは決してそのすべてではなく、手段・構成要素の重要な一つ以上ではないからだ。広告自体にとってさえもそうではないかと思うのだが、どうだろう。

...ってなことを、予選会の選考を終えて会場から出てきたところで、事務局長やスタッフの方々と話しこみ、“「広告電通賞」とは別に、「SP電通賞」とか「ダイレクトマーケティング電通賞」なども実現されるといいのにね”などと、気ままな提案をしてきた。

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