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2007年3月12日 (月)

友の絵画展

昨年の秋ごろ、自宅の最寄り駅、東急田園都市線「あざみ野」の近くに、白い大きなビルが建った。ホームドクターのクリニックに行く途中にあるので、建築中から一体何ができるのだろうかと関心を持っていたが、思わぬことからそれが判った。

過日、例の大森の店で友人たちとの“お歌の集い”があったとき、政治・経済・スポーツ・健康などから趣味・美術まで話題が発展して(四六時中唄ってばかりいるというわけではないのだ)、その店のママさんの自作という店内の造花や絵に感心しているうちに、自分と同じ横浜市内に住むNiから、“実は最近絵画クラブに入って絵を描いているのだが、会員展をやるので良かったら見に来ないか”という話が出た。
場所はあざみ野駅近くの横浜市の施設だと言っていたので、もしやと思い、後日届いた案内状の地図を見ると、やはりあの白い建物がそうで、「横浜市民ギャラリーあざみ野」だったことが判明した。家からも遠くないし、彼の絵にはもちろん、その建物にも興味があったので、先日さっそく足を運んでみた。

市民ギャラリーは、モダンだが落ち着いたインテリアで、あまり自治体施設臭のない簡素な感じに好感が持てたが、館内はかなり広く天井も高く、Niの所属するクラブ以外のグループも含めて、いくつもの絵画展が同時に開催されていた。館の案内資料を見てみると、市民の各種創作活動のための展示スペースをはじめ、アトリエや、ワークショップ用の会議室もあり、ちょっとしたコンサートもできるサロンまであるという。今まで知らなかったが、市民なら気軽に借りられるらしいので、こんど何かに利用しようと思う。

それはさておき、Niのグループの絵画展は、予想以上に楽しめた。フォルムと色彩に特徴のある建築物をポイントにした風景をペンで線描したものに、透明水彩で彩色し、塗り残し部分を効果的に活かして光と影のコントラストを生み出している、透明感にあふれた作品群は、画法は異なるが、どこかユトリロを思わせる味わいがあった。
重厚な油彩にはむろん、ズシリとくる迫力があるが、歳のせいか、“ペン彩”と呼ばれるらしいこの画法の作品の方が、見ていて疲れず、目と心の癒しになるような気がした。

Niと一緒に会場に見えていた奥さんが、“やっと部屋に飾っておける絵になりました”と謙遜していたが、どうしてどうして、もう立派なもの。Niにあれだけの画才が潜在していたことを、迂闊にもわれわれ仲間は、今まで全然気付いていなかった。

張り合うわけではないが、こう見えて、実は自分も、小さい頃から絵を描くのが好きで、高校でも2年までは、野球部と美術部を掛け持ちしていた。美術の主任教師には、3年になっても美術部に残って本格的に取り組むよう勧められたが、何だか理由は忘れてしまったけれども単純なことで野球部の方を選んだような気がする。
また、いろいろと職を替えた末、晩年になってやっと少しだけ認められるようになった田舎画家だった父親も、息子にはそんな生活不安定な道に進むことを望まず、堅い月給取りになることを期待していたので、自分もそれに格別抵抗感を持たず(そういう時代だった)大学・就職と進み、以来ほとんど、絵筆をとることは忘れていた。

その代わりにと意識してのことではないが、美術館にはよく足を運んでいる。国内よりも海外の方が多いかも知れない。行きたいと思っていながらまだ機会のないところも沢山あるが、これまでに訪ねた主だったところだけでも、ニューヨークのメトロポリタン美術館、MoMA(ニューヨーク近代美術館)、グッゲンハイム美術館、ブルックリン美術館、フリック・コレクション、ボストンのボストン美術館、サンフランシスコのSFMOMA(サンフランシスコ現代美術館)、ハワイ・オアフ島のホノルル美術館、パリのルーブル美術館、アムステルダムのゴッホ美術館とレンブラント美術館などがある。
国内でも、倉敷の大原美術館、甲府の山梨県立美術館、同じ山梨県長坂の清春白樺美術館、箱根の彫刻の森美術館などを訪ねており、上野の東京都美術館には、家内の同窓ということで夫婦ぐるみの親しいお付き合いをさせていただいている「日展」「示現会展」の重鎮、成田禎介画伯からのご招待で、毎年足を運んでいる。

そう言えば自宅も山荘も、成田画伯を始め、子供たちや、折りにふれて買い求めてきた有名・無名の画家たちの絵でいっぱい。考えてみるとやっぱり、絵が好きなのかと思う。
結婚してから知ったのだが、岳父も絵心のあった人で、家内もファッション画を描き、特に奨めたわけでもないのに子供たちは皆、やはり絵が好きで得意になった。次男などはとうとうそれが職業になり、今はグラフィック・デザイナーとして活躍している。

さて、自分はと言えば、密かに“そのうちに...”と思い、数年前にお絵描きセット一式を揃えたが、“忙しくて描いている時間がない”と言い訳しつつ、その道具を山荘の収納庫に眠らせたまま。そういう時間は自然にできるものではなくて、自分でつくらなければできないことはわかっているのだが...。

Niの作品展を見て、“よーし、自分も”という気に、また少しなってきた。これをきっかけに、「昔とった杵柄」と行ってみるか。

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