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2007年2月19日 (月)

ある日、渋谷で

先日、久しぶりに渋谷の街を歩いた。といっても、ただブラつくだけのために渋谷に行ったわけではない。この頃はこれといって買いたいものがなく(というよりも、イメージとしてはあっても見つけられないと言った方が正確かもしれない)、デパートなどに行く頻度もめっきり少なくなっていたが、S百貨店渋谷店のメンズ売り場がリニューアル前のセールをしているとかで、“あそこのメンズは結構お洒落だから何かいいものが手に入るかもしれないわよ、たまには行ってみたら”という家内の声に押されて、足を運んだ。

いつもは、もっぱら地下街か駅直結のショッピング・エリアだけを歩き回っているのだが、Sには地下道では行けないので、その日は地上に出て駅前のスクランブル交差点を渡った。いま始まったことではないが、何でこんなに人が出ているのかと思う。交差点内も、手前の広場も、そして渡った向こう側の歩道上も。ちょうど休日だったせいか、人の波に押され、遮られて、なかなか自分のペースで歩けない。こりゃあ、まるで初詣じゃないか!疲れるゥ~。いつから渋谷はこんなになったのだろうか。

Sには確かに、なかなかセンスのいい(ただし値段もいい)ブランド品が、改装中の仮設売場にどっさりとあった。若いオネーちゃん(娘?)と一緒に熱心に見てまわっているチョイ気障オヤジもいたが、どうもいつの間にか保守的になってしまった自分にはチョッと気が退けるデザインがほとんどで、ずいぶん時間をかけて見たけれど、結局何も買わず。
でも、折角めずらしく購買意欲を抱きつつ家を出てきたのに手ブラで帰るのもつまらないと、もう一店ハシゴ。若い人たちでごった返すセンター街を突っ切って、T百貨店本店へと向かう。デパートばかりだが、今やワシラには、これがいちばん面倒がなくていいのだ。

Tのメンズ・フロアに来たら、何かホッとした。変にブッ飛んでなくて、かといってコンサバ過ぎもせず、トラッドさを守りつつも程よくファッショナブルな品揃えで、自称もとアイビーリーガーも大納得。さすが、銀座でも日本橋でも新宿でもなくシブヤだ!イメージしていたものが、難なく見つかった。
そういえば若い頃、道玄坂界隈に立ち並んでいた専門店のショーウィンドにへばりついて、とても手の届かないカッコいいスーツにため息をもらしたことが何度もあったっけ。

ひとまず目的は達したので、帰る前に少し街を眺めて行こうかと、いわゆる“T本店通り”(最近は“文化村通り”に変ったらしい)に出ると、ここもまた歩行者天国状態。かつてこの道は“栄通り”といって、Tに突き当たったところで大通りが終わり、その先は右が代々木富ヶ谷、左が道玄坂上に抜ける細い裏通りで、人の流れはほとんど駅に向かっていた。それが今は逆。Tの中とTの裏側に、どんどん人が吸い込まれてゆく。

この通りを駅方面に向かう右側には、その昔「恋文横丁」があった。迷路のような坂道の路地の両側に、焼きそば・餃子・チャーハン・湯麺などが専門の狭い中華料理店がビッシリと軒を連ね、昭和30年代はどれでも50円だったが、手持ち20~30円しかない貧乏学生には、その金額の分だけでも作ってくれる人情があった。
だいぶ前に一度区画整理されて、中層の雑居ビルが建っていたが、この日前を通ったら、それも取り壊されて空き地になっていた。こうやって、昭和は忘れられてしまうのか。

通りの反対側もすっかり変った。表通り沿いにあった映画館は若い人向けのショッピング・プラザになり、裏通りの大衆レストラン「渋谷食堂(通称渋食)」は「万葉会館」に変身した。昔はけっこう危ない、怪しげだった一帯も、「パルコ」だ「ハンズ」だ「ロフト」だ、「公園通り」だ「スペイン坂」だと、いまは小洒落た名前で呼ばれている。
旧渋食と同様、変らずに昔と同じ場所で頑張っているのが、道玄坂下交差点手前の「くじら屋」。半世紀前は牛肉や豚肉はおろか鶏肉さえも十分に味わえなかった庶民の食欲を、低価格の鯨肉で満たしてくれたあの店は、今ではすっかり、珍味が売り物の高級店になった。

ブラブラ歩いていたら、いつの間にか駅のそば。考えてみたら昼飯がまだだったので、ついこの間まで(といってももう15年以上になる)寄っていた井の頭線ガード近くのラーメン屋やチャンポン屋を探したが、影もかたちもなくなっていた。
で、このごろ時たま行っている「マークシティ」4階のチャイニーズ・カフェへ。なぜかその日は、どうしても中華のツユそばを食べたかったからだ。5階にあるEホテルのラウンジを仕事の打ち合わせなどで使わせてもらうことがよくあるため、ここにはその流れで来るようになった。
そう言えばこのビルの敷地は、“玉電”(正式にはT急玉川電鉄)の線路が通っていた坂道跡。その玉電の改札口が山手線外回りの渋谷駅ホームに直結していたことを覚えている人は、もうそんなに多くあるまい。

そうそう、スクランブル交差点の前で、テレビでしか見たことのなかった“ヤマンバ”をナマで見た。昔の渋谷はオシャレな若者の街だったが、そんなレトロな話しは、もはやお呼びでないようだ。

コラマッタ失礼をいたしましたッ!! 

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