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2007年2月

2007年2月26日 (月)

迷惑メール

まったく困ったものだ。というよりも腹が立つ。インターネット・チャネルを通じて、いわゆる“迷惑メール”(SPAM)が、毎日、何十通とパソコンに送りつけられてくる。SPAM排除のソフトウエアをインストールしてあるから、その手のメールは片っ端から識別・ブロックされて自動的にSPAMのフォルダに入るようになっているのだが、それを一日に何度も、確認しては削除しなければならないのが煩わしい。
しかし、たまに変ったアドレスの人が送信してくると、SPAMではないのにそう識別されて、そちらのフォルダーに入ってしまうことがあったりするので、やはり確認は必要であり、面倒でもこの作業は続けざるを得ない。

ずっと以前からこうだったわけではなく、ひどいと意識するようになってから1年くらいしか経っていないような気もするが、何でこんなことになったのか見当もつかない。
カード会社、マイレージ・クラブ、パソコンのハードウエアおよびソフトウエア・メーカー、関連業界団体など、メールアドレスを登録してあるところは、すべて、プライバシー・ポリシーのきちんとしているところばかりだし、懸賞サイトなどに応募した覚えもない。が、あれこれ素人考えを巡らせてみると、ブログを始めた昨年あたりから、そしてどうも、変なトラックバックを訳のわからないまま開いてしまった頃からのような気もする。

ただ、知人や友人などにも聞いてみると、みんな同じような目に遭っているらしいので、自分だけに関係のある原因によるわけでもないようだが、それにつけても何とかならないものか?加入しているプロバイダーによっては、SPAMはそこのサーバーでブロックされ、加入者のところまで影響は及ばないという話も聞くが、そうなのだろうか?

でも、よくマア飽きもせず、日本語メールはいわゆる“出逢い系”や“H系”、英語メールは“投資”や“ローン”や“精力増強剤”や“模造時計”など、基本的に同じオファーを手を変え品を変えして送ってくるものだ。一見、さまざまな業者から送信されてくるように見えるが、用件名や発信者名は変えていても、リンクのアドレスは同じだったりして、発信者の実体は割合限られているようにも思える。
してみると連中は、やっていることは甚だ怪しいが、案外「ロングテールの法則」を実践しているのかも知れない。いや、それほどのものではなくて、単に“下手な鉄砲も数打ちゃあ当たる”の方だろう。とも角これだけ執拗に続けているということは、やはり、ツイ引っかかってしまう人もいるということなのかも知れない。用心、用心。

自分は現在、メールはパソコンに限っていて、ケータイ・メールは使っていない。ケータイを持ち始めの頃は、あえてそこまでしなかったのだが、迷惑メールの処理が面倒くさくって、メール機能そのものを利用しないことにした。もっとも今は簡単にブロックできるサービスがあって、自分みたいにまでしなくてもいいらしいのだが、メールはパソコンで十分用が足り、ケータイ・メールの必要性を感じないので、これでいいと思っている。
だいいち、ケータイでメールを打とうと思っても、いちいち老眼鏡をかけないと文字がよく見えないし、片手の指一本だけで素早くキーボードを操作するなどという器用なことは、今の自分にはとてもできない。

ところで、インターネットが出現する以前は、迷惑メールといえば、郵便によるダイレクトメールのそれのことだったが、今ではたいていの人は、Eメールのそれを思い浮かべる。事実この頃は、自分のところにも、それらしきダイレクトメールはほとんど届かなくなり、Eメールとくらべるとダイレクトメールには何だか“節度感”さえ感じられるようになって、届いたものはすべて、一応は開封することにしていた。
ところがつい先日、折角抱いていたそんな好感が吹っ飛んでしまうような、はなはだ不愉快な一通のはがきダイレクトメールを受取った。

第三者に記載事項が見えないように通常のハガキの2枚分を張り合わせたかたちになっている、いわゆる“シール式はがき”というヤツで、宛名面にはもっともらしく「重要」「親展」という文字が刷り込んであり(昔からある陳腐な開封促進テクニックだが)、裏面には大手スーパーJのグループ名「A」を冠した「Aキャッシュ・プラザ」という社名およびAグループのロゴマークと、“お手軽・便利な振込ローン”という見出しと共にその取り扱い先らしき金融機関のロゴマークが掲載されている。
一見して、消費者金融の案内と見当がついたが、“何でこんなものを自分のところに送りつけてくるのか”とムカついただけでなく、“どうしてAグループの会社が自分の宛先を知ったのか”と不審に思い、電話をかけて追求しようとシールを開いてみた。

案の定、多重債務者をカード会員化し“まとめ借り”を勧めようとする内容で、“そんなものを案内される謂れはないのに、どこで自分の宛名を入手したのか”と迫ったら、電話口の男は“個人情報の保護規定に触れるので言えない”とぬかした。
“ふざけるんじゃない、それはこっちが言いたいセリフだ!”と、なおも追求したら、今度は開き直って“営業妨害するのか...”と、ガチャン! 

怒りが治まらないまま、これが世にいう悪徳業者かとインターネットで調べてみたら、その会社のホームページなどはなく、関東財務局が掲載する「悪質な貸金業者の情報」というページに、この会社を筆頭にして、何十・何百社もの業者名とその違反点がリストアップされていた。実在する著名会社の関連会社と思わせて安心させるため、その社名の一部の文字を変えたり、紛らわしい名称にしたり、社名ロゴを色を変えて使ったりしていて、関東財務局登録と記載している番号はすべて詐称。まことに悪質きわまりない。
この種のリストは、近畿財務局でも北海道財務局でも掲載しているようで、全国ではどれだけあるのか見当もつかないほどだ。

宛名ラベルにプリントアウトされていた自分の名前に関して一つ気がついた。苗字の“澤”が略字の“沢”になっている。自分が名前を出したり登録したりしている(したがって日常的にダイレクトメールも受取っている)ところはすべて“澤”のはずなのに妙だなと思って手元に残っていたダイレクトメールをよく調べてみたら、2つだけ“沢”のところがあった。大学の校友会とゴルフクラブだ。ウーン...それなら名簿屋ルートから流れることがあり得るかも知れないなと、納得した訳ではないが、一たん鉾を納めた。

メールではなく、いわゆる“迷惑電話”(テレマーケティングと混同・誤解されている)も同じこと。どれも、何の事前認知関係もない相手にいきなり、望まれてもいない商業的メッセージを送るという商法だが、こんなやり方は不審がられ反感を持たれるのが関の山だ。ヒット率の良くない方法なのに、それがわからないのだろうか。毎日こんなことばかり考えている連中に、“その時間と頭をもうチョッとマシなことに使え!”と言いたい。
またこれには、陰で名簿を提供しているマーケティング・コンサルタントづらした業者がいるはずで、そんな輩にも、“商売したさに目的構わず協力するんじゃないよ!”と、断固糾弾しておく。

こんな連中は、当局によって徹底的に取り締まってもらいたいものだが、同時に気にしなくてはいけないのが、“だからEメールは...”、“やっぱりダイレクトメールは...”、“テレマーケティングはねえ...”などと、メディアそのものの真価が誤認されること。
“顧客中心の時代”のコミュニケーションの根幹となるこれらのメディアについての偏見や誤解を、防ぎ、なくすために、関連業界は、対消費者・対企業の両市場に向けての広報活動など、より積極的な戦略を展開する必要がある。
金も力もない自分だが、そのためには知恵だけでも大いに絞って寄与したいと思う。

身辺雑感のつもりで書き始めたのが、職業柄、ついいつの間にかマーケティング談義になってしまった。

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2007年2月19日 (月)

ある日、渋谷で

先日、久しぶりに渋谷の街を歩いた。といっても、ただブラつくだけのために渋谷に行ったわけではない。この頃はこれといって買いたいものがなく(というよりも、イメージとしてはあっても見つけられないと言った方が正確かもしれない)、デパートなどに行く頻度もめっきり少なくなっていたが、S百貨店渋谷店のメンズ売り場がリニューアル前のセールをしているとかで、“あそこのメンズは結構お洒落だから何かいいものが手に入るかもしれないわよ、たまには行ってみたら”という家内の声に押されて、足を運んだ。

いつもは、もっぱら地下街か駅直結のショッピング・エリアだけを歩き回っているのだが、Sには地下道では行けないので、その日は地上に出て駅前のスクランブル交差点を渡った。いま始まったことではないが、何でこんなに人が出ているのかと思う。交差点内も、手前の広場も、そして渡った向こう側の歩道上も。ちょうど休日だったせいか、人の波に押され、遮られて、なかなか自分のペースで歩けない。こりゃあ、まるで初詣じゃないか!疲れるゥ~。いつから渋谷はこんなになったのだろうか。

Sには確かに、なかなかセンスのいい(ただし値段もいい)ブランド品が、改装中の仮設売場にどっさりとあった。若いオネーちゃん(娘?)と一緒に熱心に見てまわっているチョイ気障オヤジもいたが、どうもいつの間にか保守的になってしまった自分にはチョッと気が退けるデザインがほとんどで、ずいぶん時間をかけて見たけれど、結局何も買わず。
でも、折角めずらしく購買意欲を抱きつつ家を出てきたのに手ブラで帰るのもつまらないと、もう一店ハシゴ。若い人たちでごった返すセンター街を突っ切って、T百貨店本店へと向かう。デパートばかりだが、今やワシラには、これがいちばん面倒がなくていいのだ。

Tのメンズ・フロアに来たら、何かホッとした。変にブッ飛んでなくて、かといってコンサバ過ぎもせず、トラッドさを守りつつも程よくファッショナブルな品揃えで、自称もとアイビーリーガーも大納得。さすが、銀座でも日本橋でも新宿でもなくシブヤだ!イメージしていたものが、難なく見つかった。
そういえば若い頃、道玄坂界隈に立ち並んでいた専門店のショーウィンドにへばりついて、とても手の届かないカッコいいスーツにため息をもらしたことが何度もあったっけ。

ひとまず目的は達したので、帰る前に少し街を眺めて行こうかと、いわゆる“T本店通り”(最近は“文化村通り”に変ったらしい)に出ると、ここもまた歩行者天国状態。かつてこの道は“栄通り”といって、Tに突き当たったところで大通りが終わり、その先は右が代々木富ヶ谷、左が道玄坂上に抜ける細い裏通りで、人の流れはほとんど駅に向かっていた。それが今は逆。Tの中とTの裏側に、どんどん人が吸い込まれてゆく。

この通りを駅方面に向かう右側には、その昔「恋文横丁」があった。迷路のような坂道の路地の両側に、焼きそば・餃子・チャーハン・湯麺などが専門の狭い中華料理店がビッシリと軒を連ね、昭和30年代はどれでも50円だったが、手持ち20~30円しかない貧乏学生には、その金額の分だけでも作ってくれる人情があった。
だいぶ前に一度区画整理されて、中層の雑居ビルが建っていたが、この日前を通ったら、それも取り壊されて空き地になっていた。こうやって、昭和は忘れられてしまうのか。

通りの反対側もすっかり変った。表通り沿いにあった映画館は若い人向けのショッピング・プラザになり、裏通りの大衆レストラン「渋谷食堂(通称渋食)」は「万葉会館」に変身した。昔はけっこう危ない、怪しげだった一帯も、「パルコ」だ「ハンズ」だ「ロフト」だ、「公園通り」だ「スペイン坂」だと、いまは小洒落た名前で呼ばれている。
旧渋食と同様、変らずに昔と同じ場所で頑張っているのが、道玄坂下交差点手前の「くじら屋」。半世紀前は牛肉や豚肉はおろか鶏肉さえも十分に味わえなかった庶民の食欲を、低価格の鯨肉で満たしてくれたあの店は、今ではすっかり、珍味が売り物の高級店になった。

ブラブラ歩いていたら、いつの間にか駅のそば。考えてみたら昼飯がまだだったので、ついこの間まで(といってももう15年以上になる)寄っていた井の頭線ガード近くのラーメン屋やチャンポン屋を探したが、影もかたちもなくなっていた。
で、このごろ時たま行っている「マークシティ」4階のチャイニーズ・カフェへ。なぜかその日は、どうしても中華のツユそばを食べたかったからだ。5階にあるEホテルのラウンジを仕事の打ち合わせなどで使わせてもらうことがよくあるため、ここにはその流れで来るようになった。
そう言えばこのビルの敷地は、“玉電”(正式にはT急玉川電鉄)の線路が通っていた坂道跡。その玉電の改札口が山手線外回りの渋谷駅ホームに直結していたことを覚えている人は、もうそんなに多くあるまい。

そうそう、スクランブル交差点の前で、テレビでしか見たことのなかった“ヤマンバ”をナマで見た。昔の渋谷はオシャレな若者の街だったが、そんなレトロな話しは、もはやお呼びでないようだ。

コラマッタ失礼をいたしましたッ!! 

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2007年2月13日 (火)

ダイレクトマーケティング・フォーラム

先週、2月7日から9日までの三日間、池袋のサンシャインシティ・コンベンションセンターで、おそらくこの種の国内ビジネス・コンファレンスとしては最大級のものの一つ、「ダイレクトマーケティング・フォーラム」が開催された。
メインの主催者が日本郵政公社であることから、昨年までは「ポスタル・フォーラム」と称し、事実上「ダイレクトメール」にフォーカスしていたが、もはやビジネスをダイレクトメールという単一のチャネルだけで考える時代ではなく、より大きな視点でとらえる必要があるということで、今年から新呼称に改めたのだ。

このコンファレンスが、ポスタル・フォーラムとして開催されるようになってから、もう何年になるのだろうか?記憶が定かではないが、かなり長いような気がする。20年近く?それとも15年ぐらいだったか。ともあれ、10年やそこらではないはず。その間、自分にもいろいろ立場の変化はあったが、講演のスピーカーとして、ときどき関わってきた。

初期の頃には、基調講演を仰せつかったこともあった。日本でもようやく、ダイレクトマーケティングの機運が高まり、自分もその旗振り役の一人として第一線で活動していた頃だった。最近では、2000年と2005年に講演しており、本年2007年は2コマを受け持った。

一つは、初日の「マクロ・ダイレクトマーケティング~ダイレクトマーケティング進化論」。“ダイレクトマーケティングは今日、単に流通・販売の一手段あるいは広告メディアミックスの一構成要素ではなく、マーケティング全般に対する影響力を持ち、その基盤に位置づけられるべき、マクロな基本原理・アプリケーションシステムになっている”という趣旨の、総論・基本論だ。
もう一つは、二日目の「メディア・フォーメーション~実践マルチチャネル・コミュニケーション」で、“ダイレクトマーケティングで顧客と情報を獲得し、自社固有の市場を形成・維持してコンスタントな収益源とするには、複数のメディアをその機能と特性に応じて有機的に連関させた使い方をする必要がある”という、いわば各論・技術論である。

自分としては、これまでのコンファレンスの性格とここまでの流れを慮って、“インターネットに代表されるこのデジタル万能のような時代だからこそ、ダイレクトメールでなければ果たせない役割があり、ダイレクトメールの存在理由が際立ってくる。だから、これからのマーケティングでは、デジタルとアナログの複合が不可欠...”というトレンド予測と必然的戦略の話をした積りだったが、果たして受講者にはアピールできていただろうか?何十年とこういう場数は踏んでいる自分だが、やはり反応は気になるものだ。両コマとも、ほぼ満席の受講者は熱心に耳を傾けてくれてはいたのだが...。
「Web 2.0」とか「レスポンス率アップの秘訣」とかいう話をすれば確実に受けるのはわかっているが、受けようと受けまいと、自分のような話もこういうところでは欠かすことができないはずで、自分にはそれを話す使命があると気をとり直す。

三日目は、講演と展示のプログラムがすべて終了した夕刻から、「全日本DM大賞」入賞作品表彰式とレセプションが行われ、そちらにも参列・出席した。
この表彰式は、大企業中心のマスメディア広告のそれと比べると規模も華やかさも違うが、手作り風の作品が入賞して、この日のためにわざわざ遠いところから喜んで出かけて来られた地域企業の実直そうな老社長やその従業員の方々の姿を見ていると、あゝ、これもまた、地味だが意味のあるイベントなのだなあと思えて、このコンテストをよりメジャーなものにするために一層の尽力をしなければという気持ちにさせられた。

レセプションでは、この賞の審査員の代表として、他の二人の方々と共にコメントを求められたので、“今回フォーラムの性格として新たに打ち出した「ダイレクトマーケティング」「マルチチャネル」というより大きな枠組みを、コンテストの面でも推進して行って欲しい”という意味の発言をした。
と、そこまでで止しておけばよかったのだが、“これからはインターネットとダイレクトメールの複合の時代”ということを、受け狙いの駄洒落で言って、みごと滑ってしまった。

昨今のマルチチャネル化したビジネス環境を表現する「Click & Mortar」(クリック・アンド・モルタル=インターネットと店舗)というキーワードがあるが、ふと、似たような語呂を思いついて、“これからは「Click & Postal」(クリック・アンド・ポスタル=インターネットと郵便)ですね”とやったのだ。(寒いですネー)
厳密にいうと語尾が“r”と“l”で本当は発音が違うのだけれど、日本語にするとカタカナで同じ“ル”になるから、マ、イッカと勝手に思ったのだが、やはりダメ。でも、ほとんど通じず皆さんキョトンとしていたので、かえって助かった。

つまらぬ冗談はさておき、コンファレンス全体としては、3日間で約3万人が来場したとか。昨年にまさる盛況だったようで、ご同慶の至り。今後一層の発展を期待したい。

仕事で三日連続外出したのは久方ぶり。その所為かチョッピリ疲れて9日の夜は爆睡した。春が近づいてきて、仕事もプライベートも、また新たな局面に入る。

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2007年2月 5日 (月)

街が変り、人が変る

ムッシュとの散歩がすっかり日課になって、もう2年。いつも同じコースだと飽きるので(犬もそうらしい)、あれこれ異なるコースを辿ってみるが、毎日都心に出かけていた時には気がつかなかった、近所のいろいろなことを発見する。

自分の家で犬を飼うようになってから意識するようになったのだが、この街には実にワンちゃんが多い。散歩の途中やドッグランをさせることができる空き地などでよく逢うので自己紹介もしあっているワンちゃん達だけでも20匹を下らず、顔を見知ってはいるが名前のわからない子や、多分一回しか会ってない子、初めて遇う子などを入れれば何十匹にもなるだろう。

有難いことに、人懐っこいムッシュはご近所の皆さんにも顔なじみになって、散歩の途中によく声をかけていただく。中には、ご自分の犬をそっちのけにして、ムッシュにペロペロさせている方もいるほど。時には、わざわざ家から出てきて話しかけてくださる方も。歩く縫いぐるみのようなムッシュの容姿のせいか?それとも彼の人徳(いや“犬徳”?)のおかげか?アラアラ、ペット自慢をしてしまった。

それはともあれ、ここに移り住んでから21年の間に、街の様子も変った。別に住環境が悪化したわけではないが、宅地造成したまま空き地状態になっていた土地のほとんどに、戸建住宅やマンションが建ち、新しい住民が増え、閑散としていた我が家の横の道も交通量が目に見えて多くなった。

それにほぼ伴うかたちで、スーパーやコンビニ、ドラッグストアやクリーニング店なども新たに開店し、そこそこ続いているが、どうも、なかなかうまく行かないのが、飲食店関係のようだ。なぜかわからないが、寿司店、和菓子店、焼肉店、ファミレスなどが、住民増を当て込んで開店しては消えて行った。定着しているのは、町民としても古株の、この街の始まりのころからの店と、ハンバーガーのマックぐらいだろうか。

先日、古稀の食事会をした懐石料理の店も、そんな街の老舗の一軒だが、実はその店に決める前に、別の店を候補にしていた。
家から歩いて5分ほど、バス通りに面してはいるが、フランスかカナダ東海岸の田舎にでもあった方がピッタリのような一軒家のフレンチ・レストランで、我が家が住み付いたのと丁度同時期に開店したこともあって、どれだけ食べに行ったか数え切れないほど。
家族・親戚や親しい友人・知人との会食はもちろん、公私のお客様のおもてなしに利用したり、別室があるので、新年会や家族の誕生パーティーなども、何度もここで開いた。

初代のオーナーはソムリエで、店に出ていた息子さんたち共々親しくしていたが、訳あって店を手放すことになった後、そこのシェフが新しいオーナーになってからは、そういう関係も薄れてしまった。
しかし、料理は美味しいし、雰囲気は良いし、最近でこそフランス料理がちょっと重くなってきたのでそんなに頻繁に足を運ばなくなっていたが、みんなが集まっての食事会はここと、最初は決めていた。

ところが昨年の暮れから、予約を入れようと何度電話をしてもかからない。店の前まで行ってみてもドアが閉まっている。たまたま何か都合があって休業でもしているのかと思い、ギリギリ年明けまで待ってみたが、とうとう時間切れで、先の懐石料理店にした次第。
もしや廃業か?この後どうなるのだろう?と、心配にも残念にも思い、店の前を通る度に横目でそれとなく様子をうかがっていたが、つい2~3日前に通りかかった時、店のドアが開いていた!何やら、横に張り紙もしてある。

前の店の消息が何か分かるかと思い、近づいてその張り紙を読もうとしていたら、店の中から、“アーラ、なんて可愛いヨーキーちゃんなんでしょう! オー、カワイー、カワイー! うちでもヨーキーを飼っていて、つい先だって亡くしたところなの”とムッシュに話しかけながら、小母様が走り出てきた。前オーナー・シェフの奥さんではない。

ドアが開けっ放しになっていたので、見るともなく見えてしまったが、どうやら内部を大改装している。何となく事情が飲み込めたような気がしたので、ひとしきりヨーキー談義で盛り上がってからその方に聞いてみたら、やはり前の店は廃業で、4月からベーカリーを開業するのだそうだ。洋菓子とパンの製造・販売ということらしい。
“お茶の無料サービスを致しますし、ワンちゃん連れも大歓迎ですので、ぜひお出でくださいね”と言われてしまった。ウーン、行かずばなるまい。もちろん、家内と一緒に。

訳知りの人に聞いてみると、どうも住宅街の中のレストランというのは、東京都内でもないとなかなか難しいらしい。その点、パンや洋菓子なら対象の幅が広いから成功するかも。

ふた昔も経つと、街も、店も、人も、入れ替わって行くのだなあ。そのうち自分たちも...。
でもそれが、自然の摂理というものなのだろう。

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