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2006年10月20日 (金)

ムッシュとお留守番

“ムッシュ”と言っても、“ムッシュかまやつ”ではない。我が家に来てからもう1年半以上経ち、すっかり家族の一員になった小犬のことである。

先だって、家内が友人と連れ立って清里の山荘へ行ったので、数日、二人(いや一人と一匹)だけで、留守番をすることになった。ムッシュが家内の不在を淋しがって世話を焼かすのではないか、あるいは案外、思ったほど苦労せずに過ごせるかと、出かける前に家内が心配していたが、“なあに大丈夫、まかせてください”と送り出した。

こうして毎日一緒に暮らしていると、犬とはいえ、日常の経験によって学習したことについては、人間の言葉がほとんど分かるようになるらしい。人間語で返事するわけではないが、一つ一つの言葉に、感心するほどちゃんと反応するのだ。

だから、傍から見たらさぞ可笑しいだろうが、朝起きたとき、食事をさせるとき、一緒に散歩をするとき、用を足させるとき、ハウス(室内のムッシュ用サークル)で昼寝させるとき、夜寝かしつけるときは、人間の幼児に対するように話しかけている。
すると相手は、声にこそ出さないが、目をクリクリさせ、首をかしげて、一生懸命理解しようとし、また、ちゃんとそれに応じて行動するから、可愛くなってしまう。いつの間にか、自分たちは自分たちのことを、パパ、ママと呼んでいた。

幸い、歩いて5分もかからない近所に、ペット・クリニックもペット・ショップもあり、両方とも、人犬共にすっかり顔馴染みになっているので、定期的な健康診断やグルーミングはもちろん、家内と二人そろって海外や国内の旅行に出かけるときには、いつもどちらかに預かってもらっている。そんな時、パパとママから離れて過ごすのはさぞ淋しかろうと初めは思っていたのだが、回が重なると、それはそれで本犬も馴れてきて、違和感を示さなくなった。
だが、今回のようにパパだけと数日過ごすのは初めてのこと。家内には大丈夫と言ったものの、実は内心どうなるかと、あまり自信がなかった。

家内が出発したのはまだ陽も高いうちだったし、これまでにも遅い午後に出て夜の8時過ぎに帰宅することは間々あったので、本犬も当座は、ママはいつものお出かけと思っていたらしく、普段通りに散歩もし、夕食も食べ、すべきことはすべてして、あとはハウスに入って寝るばかりという時間になった。
だが、「もうおやすみの時間だよ」といつもの言葉をかけても、言うことを聞かない。玄関を見通せる居間のガラス扉の前に陣取って、テコでも動かなくなってしまった。無理に抱き上げてハウスの方に連れてくるのだが、その度に同じ場所に戻ってしまう。どうやら、ママは遅くなっても帰ってくると信じ、姿が見えるまで待っている積りのようだった。
いじらしいので、しばらくはそのままにしていたが、こちらも自分の食事を済まさなければならないし、仕事をしに書斎に戻りたいので、いつもよりはだいぶ時間が経ったところでハウスに強制収用し、「おやすみ」と言って部屋の灯を消した。

いつもならその後は、よほどのことがない限りまったく声を出さず、翌朝の8時まで熟睡するのだが、その晩は、どうも様子がおかしいゾと感じたのか、思い出したように「ワウ!」「ワウ!」と啼き叫んでいる。それでも、パパが起きている気配が感じられるうちはまだよかったが、日付も変わってこちらも就寝しようかという時間になってからが困った。
どうしても寝つかず、ほぼ1時間おきぐらいに、最初は咎めるように「ガウ!」「ガウ!」と、だんだん哀願するように「フィ~」「フィ~」と声を出すので、何とかなだめすかして寝かしつけようと、その都度、起き上がらなければならなかった。

丑三つ時までそんなことの繰り返しで、こちらもヘロヘロ。「頼むから寝かしてくれよ!」とか、「いい加減に寝なさい!」とか、つい大きな声も出した(後で考えると可哀そうなことをしてしまったが...)。そのせいか、やっと2時間ほどウトウトすることができたが、また、泣くような声で起こされる。早朝の5時だった。

もう相手は、小犬だか人間の子供だかわからなくなり、朦朧とした中で「ママは清里のおうちに行って、四日ぐらい向こうにいるんだよ。でも、必ず帰ってくるから、パパと二人で、いい子でお留守番してようね。」と一生懸命言って聞かせたら、なんと!その後はピタリと啼き止んで、朝8時過ぎまで3時間、お互いに曝睡した。ひとつひとつの単語を理解したかどうかは分からないが、ニュアンスが通じたらしい。

翌日からは毎日、「ママはあと○日寝たら帰ってくるヨー」と、アイ・コンタクトしながら話をしてやると、昼も夜もまったく問題なし。ムッシュはいつもの通り元気に過ごし、自分も十分仕事ができ、夜も安眠した。

この経験で、心から語りかければ、たとえ相手が動物でも意を通わせることができるものだと、改めて悟った。ムッシュが、またひとしお可愛くなった。

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