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2006年7月14日 (金)

マイレージは何処へ

第一線から退き、ビジネス目的で頻繁に外国に出かけることがなくなってからは、なかなか一つのエアラインにまとまってマイレージが貯まらなくなった。いろいろなエアラインのそれを合計すると、結構な距離にはなるのだが...。個人的な旅行だと、やはり航空料金は安いに越したことはないので、行き先によってその国のキャリーアを使うことが多くなり、結果としてマイレージは、幾つものエアラインに分散されることになるからだ。

もちろん、日本の2大エアラインのマイレージ・クラブの会員にはなっているので、料金に多少の違いはあっても、できればそのどちらかにまとめたいのだが、なかなか、そうも行かない。いや、他人のせいにするわけではないが、エアラインの方が会員にそうする気を起こさせてくれないと言った方が正確かもしれない。
第三者的な言い方をすればこれは、マイレージ・クラブ会員のロイヤルティ維持が上手く行ってないということで、プログラム本来の目的からすれば由々しきことのはず。自分だけのことならいいのだが、恐らくそうではあるまい。気がついているのだろうか?

この2つのエアラインの一方は、かなり頻繁にEメールを送ってくる。それも、マイレージ・クラブ自体とそのエアライン・カード会社の両方から、同じようなものをだ。メルマガの体裁はとっているが、紛れもなく、販促・通販情報大盛りの、いわゆる広告メールで、特に自分のプロファイルや関係履歴に基づいてパーソナライズされた情報などはない。読み辛いこともあるし、大見出しをちらっと見ながら、ざっとスクロールするだけだ。

また、それらとは別に、旅行をした後やカードを使った後は、ダイレクトメールで実績報告書や利用明細書が送られてくる。これらにもそれぞれ、会員誌らしき小冊子をはじめさまざまな情報がギュウ詰めになっているが、小冊子の文字が小さ過ぎて読めないから、報告書や明細書の数字を確認するぐらいで、あとはほとんど目を通さない。
顧客に情報を届けるのは重要だと言っても、沢山詰め込めば良いというものではないことを、誰も知らないのだろうか?

もう一方のエアラインのマイレージ・クラブは、これはまた淡白なもので、旅行後の実績報告書のダイレクトメールの他は何も送ってこない。だいぶ前に入会したので、メールアドレスは登録していなかったのかも知れないが、あらためて尋ねてもこない。ホームページから登録はできるのだが、わざわざこちらからそうするまでもないと思っている。

本来なら、日本のエアラインであるこの2つのどちらかにマイレージを集中させる方がこちらとしても都合が良いのだが、どうしてそうならないのかと自分でも考えてみた。
それは、どちらのエアラインも、折角ダイレクトメールやEメールという個別訴求メディアを使っていながら、送ってくるのは全会員に共通の、しかもエアライン側から“売りたい”情報ばかりでそれぞれの会員の意向や利用状況に即したものではなく、会員であることを実感させるサービスというものが特にないからで、会員は個人的に認識され大事にされているという気がしないのだ。これでは、それだけに集中したくなるわけがない。

もともとこのプログラムは、「ロイヤルティ・プログラム」と呼ばれる、顧客の満足度を高めてブランドに対する愛着を強化・促進するための戦略で、現在「ポイント・プログラム」と通称されて流通・サービス業にまで広く行き渡っている、実質的に後付けの価格割引による単なる反復販売促進のための手法とは似て非なるものであったはずだが、どこかで方向軸がおかしくなってしまったようだ。これでは、せっかく正しい目的地をセットして飛び立ったマイレージ・プログラムは、暗雲の中に突っ込んでコースを見失ってしまう。事実、採算が悪化して撤退を検討せざるを得なくなっているエアラインもあると聞く。

時流に追従するだけの底の浅いマーケティング・コメンテーターは、この現象をもって“ロイヤルティ・プログラムの終焉”などと言っているようだが、チョッと待った! 
自分自身このプログラムの立ち上げに何度も関わり、その重要性と真価を著書や講演などで力説している立場の者としては、黙っているわけには行かない。個人的にボヤいているだけでなく、ここで改めて主張を展開すべきと思い立った。が、奇しくも時を同じくして、米国のウエブ・ジャーナルにも、同様の見解が掲載されていた。

「MSNBC.com」6月29日号のAP発の記事によると、――“エアラインは1990年代から、副収入の道としてクレジットカードなどでショッピングしても(つまり実際に航空旅行をしなくても)マイルが貯まる制度を開始したが、これは本来目指している航空旅客の反復搭乗の頻度とその意味を相対的に減じる結果を招いており、大きな誤りだった。そのためマイレージ・プログラムは、今や単に、ショッピングに対する報奨のプログラムに堕しているが、これを本来の、高頻度航空旅客を満足させるような、例えば優先シート指定、優先通関、優先搭乗といった、航空機利用におけるロイヤルティに対する報奨のプログラムに戻さなければならない。”――というのだ。その通りである。
この問題は、同じ時期にニューヨークで開催されていたダイレクトマーケティングのコンベンション「DM Days New York」でもメインテーマの一つになっており、――“ロイヤルティ・プログラムは売上のみを追及するためのシステムではなくて、利益を生む顧客との関係を構築するための戦略。”――と結論づけられている。

そのためには、エアラインのマイレージ・プログラムも、世のショッピングポイント・プログラムも、CRMの原理、会員データベース・マネジメントの原点に立ち帰る必要がある。方法論として、ここからもリンクできるウエブ・セミナー「中澤功の顧客創造」(第6回)や「体系ダイレクトマーケティング」かの各著書が参考になれば幸いだ。

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コメント

中澤様

はじめまして、いつも参考になる記事を

拝見させていただいております。

マイレージ関連は、

話題がたくさんあって、

興味津々なトピックです。

さて、マイレージ関連で面白い話題が

あります。なんと、

セゾンカード 10,000,000ポイント

でプライベートジェット貸切ハワイ旅行にいけます。

必要なお買い物は、100億円。

ありえないのですが、セゾンカードとして

永久不滅ポイントという特徴を訴求するには

有効なプロモーションだと思いました。

ありきたりのことをしても宣伝効果は

低いですから。


http://papajet.livedoor.biz/archives/50101432.html

投稿: パパジェット | 2006年7月16日 (日) 20時43分

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