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2006年6月 5日 (月)

レスポンス広告塾

先週・先々週と2週続けて、広告の企画(プランニング)および制作(クリエーティブ)実務者向けの「レスポンス広告塾」というワークショップで話をする機会があった。

“レスポンス広告”とは、端的に言えば、一方的にメッセージを発信するだけでなく、それに対する何らかのかたちでの反応(レスポンス)と、それに伴う諸情報を取り込むことを目的とする広告のことだが、よく注意して見ていると、さまざまなメディアによる広告のかなりの部分は、事実上そのようなものになっていることがわかる。特にインターネットの場合は、メディアそのものの特性上、広告主が意識しているといないとにかかわらず、すべての広告は顕在・潜在的にレスポンス広告であると言っても、あながち言い過ぎにはならないだろう。

これまでいろいろな場でさんざん書いたりしゃべったりしているので、ここでは細かい話は繰り返さないが、自分だけでなく他の多くのマーケティング専門家も認めているように、昨今では、企業主導・商品中心の情報を一方的に発信して市場を動かそうとする、伝統的に主流だった広告モデルの効果が、どうも怪しくなってきた。通信技術環境がかつてとはくらべ物にならないほど進化・革新し、そのような情報は、市場の消費者側が主導権を持って選択的に入手するように状況が変化してきたからだ。

したがって、その傾向を読めないまま発信される伝統型の広告は、きわめて無駄の多いものにならざるを得ず、必然的に、市場・顧客との直結コミュニケーション・チャネルを構築するためのレスポンス広告と言われるスタイルの広告が急速に増え始めている。伝統型広告メディアの最たるものであるテレビ放送すらデジタル化・双方向化するごく近い将来には、“広告”と言えば、現在で言うレスポンス広告的なものを意味するようになっているかも知れない。

なのに、そのことの重要性についての広告関係者間での認識は、今もって驚くほど狭く浅い。大部分の広告主(広告宣伝担当者?)は、レスポンス広告と呼ばれている目的・スタイルの広告を、軽視・曲解し、広告のクリエーティブ実務者もそれについて無知だったり、誤解したりしている。もともとこのスタイルの原型が通信販売広告だったこともあり、またそれに使用されるメディアがいわゆる“Below-the-line”のマスメディア以外のものが多かったこともあって、なぜか未だに広告としては傍流視され、このような“特別なジャンル・手法の広告”といった見なされ方、呼ばれ方をしているのだ。
わが国の現状としてはことにそうなのだが、欧米でも、もはやそうではないとも必ずしも言い切れない(特にヨーロッパでは)ところが残念である。つまりこれは、これからも追求してゆくべき、マーケティング上の大きな研究課題の一つなのだ。

少なくとも日本国内ではそういう状況だったから、レスポンス広告に集中したプランニングやクリエーティブ実務者の指導・育成には、それぞれの関係企業内でもあまり力が入っていなかったし、外部でも、そのためのセミナーやワークショップが開催される機会は皆無に近かった。
言い訳がましくなるが、自分もそのことを今さら気付いたわけではないのだが、まずはレスポンス広告を含む今日的ダイレクトマーケティングの理論体系構築とその啓蒙・普及をということで、これまでは分かっていながら手がまわらなかった。

そんなところに、かねてから懇意にしている3社の協力――マーケティング・コンサルティング会社「ニューロテクニカ」の企画、業界専門誌「アイ・エム・プレス」の後援、社団法人「印刷技術協会」(JAGAT)の主催――で首記のようなワークショップが実現すると聞き、我が意を得た思いがした。そして、及ばずながら講師として一役買う気になった。
今では何だかんだと理屈をこねるのが仕事のようになっているが、実は自分も、もとをただせばマーケティング・プランナーで広告クリエーター。戦略企画を立て、コピーも書けばデザインもする。成功も失敗も重ねてきて、特にレスポンス広告については、語っておきたいこと、伝授したいことが山ほどある。そんな血が思わず騒いでしまったのだ。

この広告塾は、今期は確か6月の中旬過ぎまで開講しているはずで、秋期の開講も内定していると聞く。今回自分は、“広告クリエーティブの本質論”と、それに取り組むについての“持つべきマインド”と“とるべきスタンス”について、いわば総論的な話をしたのだが、各専門分野の講師たちはいずれも現役の経験豊富な実力者ぞろい。自分自身も第一線の実務者である受講者たちは、きっと、講師たちとそして受講者同士で切磋琢磨し合い、何かを掴んでくれたに違いない。いろいろな意味で、次回が楽しみだ。

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