« アメリカの中の日本人 | トップページ | 美味しい話 »

2006年4月11日 (火)

南イタリア紀行

アモーレ! マンジャーレ! カンターレ! 家内と二人で"陽光の南イタリアの旅"(ツアー・タイトルのまんま)に参加してきた。一行33名添乗員付きの大人数で、一日ごとに移動し、早朝から日暮れまで可能な限り多くの見所を巡り、三度の食事もすべてセットされているという、良くも悪くも盛り沢山でタイトな、典型的なグループ・ツアーだったが、道中ずっと晴天に恵まれ、まずまずの楽しい旅だった。
ローマ以北は、仕事や観光で何度か行ったことがあったが、いわゆる南イタリアは今度が初めて。行く前は、漠然とナポリとその周辺のことかなという程度のイメージしかなかったが、今回の行き先はそれが半分で、あとの半分はシチリア島。気候風土も景観も、良い意味で予想を裏切る新鮮さがあった。

成田を昼過ぎに発ってから、ローマでイタリアの国内線に乗り継ぎ、シチリア最大の都市パレルモに到着したのは通算16時間後。ホテルに入った頃はすっかり夜も更けて、初日は何もなす術なし。
というわけで、二日目早朝から、遺跡めぐりのバスの旅がスタート。シチリアは"地中海の十字路"と呼ばれ、古くから交易の要衝だったそうで、多民族の文化が混交した遺跡・建造物などが各所に存在するが、この日はパレルモ市内から郊外のモンレアーレに足を延ばし歴史的様式美に溢れた旧宮殿やドゥオモ(大教会)に立ち寄った後、世界遺産にも指定されたアグリジェントの「神殿の谷」へ。眼下に白く光る地中海、丘を見上げれば赤茶の古代ギリシャ神殿の大円柱、そしてあたりを若緑に彩るオリーブとアーモンドの畑。これらが織り成す光景は、まさに別世界のものだった。

赤茶の古代ギリシャ神殿の大円柱
三日目は、古代ローマのモザイク画で世界遺産に指定されているピッツァ・アルメリーナの「カサーレの別荘」を見て、その後にタオルミーナへ。ギリシャ時代に建造され、ローマ時代に改築、現在も使用されているという「円形劇場」もさることながら、その外壁越しに見はるかすイオニア海の彼方の白雪のエトナ山(写真2)の眺めがすばらしかった。

白雪のエトナ山
四日目は島の最東端メッシーナからフェリーで海峡を渡り、イタリア本土の港町ヴィラ・サンジョバンニに上陸、そこから延々と400キロあまり走って世界遺産の町アルベロベッロに到着。小高い丘の上にあるこの町には、「トゥルッリ」という真っ白な壁の上に灰色の円錐形のとんがり屋根が載ったお伽の国のような不思議なかたちの建物)がギッシリと立ち並ぶ。どうしてこの地域だけにこんな様式の建物があるのかわからないが、ほとんどのトゥルッリは、今も住居として、または事務所や商店として使われている。 不思議なかたちの建物
五日目はいよいよ最終目的地のナポリ方面に向うが、その途中で、やはり世界遺産になっているマテーラの「洞窟住居」を探訪。ランチもその洞窟内を改装したレストランでとったが、外の暑さが嘘のようなヒンヤリとした空気が心地よかった。ナポリに近づくにつれてバスの車窓からヴェスーヴィオ山が見えてきたが、何と言っても、サンタ・ルチア海岸から湾を隔てて望むその姿が、圧倒的に雄大だった。
そして暮れなずむ頃、美しいナポリの夕景を眺めながら幾重にも折れる坂道を登って宿泊地のソレントへ。ここで初めて連泊することになり、やっとホッと一息つける気分に。

マテーラの洞窟住居

ヴェスーヴィオ山
六日目は観光の最終日で、ポンペイの遺跡とカプリ島へ。ポンペイの見所についてはガイドブックなどである程度の予備知識を持っていたが、土産物屋の客引きがうるさく、見学者も多すぎて、思っていたよりも俗化している感じがした。ただ、その領域の広大さは予想以上で、とても1~2時間の駆け足では見て回れるものではなく、再訪して少なくとも丸一日はかけて、自分のペースでじっくりと観察したいと思った。
再びナポリ港へとって返し、高速水中翼船でカプリ島へ渡る。楽しみにしていた「青の洞窟」は、残念にも波が高いということで入れず、美術館「ヴィッラ・サン・ミケーレ」とその庭園の花々、テラスからのパノラマを楽しむ散策で時を過ごした。
ソレントに戻ってきてからも、ディナー前後に少しフリー・タイムをとることができたので、町のメーン・ストリート「コルソ通り」をブラブラ歩きして、ひととき、いつもの個人旅行の時のような気分を味わうことができた。

ポンペイの遺跡 テラスからのパノラマ コルソ通り
それにしても、南イタリアの景観はすばらしかった。紺碧の海と雲ひとつなく晴れた空と爽やかな大気、なだらかな丘の斜面いっぱいに広がる若緑のオリーブ畑、そして郊外も市内も道の両側はどこを向いてもたわわに実をつけた太陽色のオレンジとレモンの樹――月並みな形容だが、"風光明媚"とはこういうことを言うのではないかと感じ入った。

ほとんどの行程がホテルに夕方着いては翌朝には発つという慌しい6日間、バスタブなしでシャワーのみだったり、そのシャワーのお湯も十分出なかったり、出てもぬるかったり、自由時間がほとんどなくて碌にショッピングもできなかったりと、不満を言えばきりがないが、それでもこの旅は、南イタリアの光と風と歴史の残像で私たちを酔わせてくれた。

偶然だが、4月28日から6月25日まで、渋谷の東急文化村で「ポンペイ展」が開催されることになっており、今週土曜日(4月15日)夜9時からのTBS「世界ふしぎ発見」では、アルベロベッロとマテーラが取り上げられるそうだ。ぜひ見ようと思っている。
   

|

« アメリカの中の日本人 | トップページ | 美味しい話 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 南イタリア紀行:

« アメリカの中の日本人 | トップページ | 美味しい話 »