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2006年2月14日 (火)

八ヶ岳の冬

トリノ冬季オリンピックが始まった。真夜中や未明に寝ないでテレビにかぶりついているわけではなく、ニュースや特集番組などで見ているだけだが、アルペン競技の会場になっているセストリエールのゲレンデとその向うのアルプスの峰々のパノラマチックな光景が、我が山荘のほど近くにあるスキー場(サンメドウズ大泉・清里スキー場)とその背後の八ヶ岳連峰に似ているなとフト感じ、冬の清里に思いを馳せた。

山荘を建てて17年になるが、なにしろ標高1400メートルの高地なので平地との気温差は10度以上、冬の寒さは半端ではなく(特に今年は思いやられる)、床暖房や暖炉もあるものの、まるまる一冬を向うで過ごしたことはない。それでも最初の数年は、クリスマスや正月を家族そろって山荘で迎えスキーを楽しんだりしたことがあったが、子供たちがみな家を離れ小犬一匹と夫婦二人になった今は、億劫でなかなか出かける気になれない。
スキー場は山荘から車で10分もかからないところにあるので、身体が言うことを聞くうちにできるだけ何回も行っておこうと毎年のように話し合うのだが、実際にはここ何年もご無沙汰している。このところ冬の山荘は専らクローズしており、気温が氷点下まで下がる冬季は水周りの凍結防止のため、いわゆる“水抜き”をして帰ってくるので、また行って使うためにいちいちリセットするのがだんだん面倒になってきたのだ。

実は、スキーを始めたのは50代になってからで、10年前ぐらいまではそれでも元気一杯、周りから無理はしなさんなと言われながら毎冬滑っていたものだが、こんな弱音を吐くようになったのは、もはや気力・体力の限界か。上手く行けば4月になっても雪が残っていることもあるので、春が来て山荘をオープンする頃にでもと願っているがどうなるか。
雪と言えば、山荘の所在する森の管理センターによれば、今年は例年になく雪が少ないという。12月からの記録を見ても、10センチ積もったのが1回(この時は関東南部も大雪)で、あとは数回2~3センチ積もっただけである。事実、センターのホームページを通じて定点カメラからのライブ画像を見ても、雪がかすかに白く見えるのは、建物の陰の陽の当たらない個所ぐらいだ。

八ヶ岳南麓は本来、降雪が少ないのだそうだが、10年以上前の大雪(と言っても20~30センチが2回)の時にはいささか苦労した。3月になってからのことだったので、まさかと思って出かけたが、管理センターによる除雪は家の前の道路までで敷地内は一面積もったまま、家内と二人で汗だくになって、やっと車を入れる最小限のスペースを空けた。オフロード車でいつもスコップを積んでいたから良かったようなものの、そうでなければ目の前まで来て戻るほかなかった。それにつけても、今冬の豪雪各地の大変さが偲ばれる。

清里というところは、夏をピークとして春から秋にかけては様々なカントリーライクなイベントが催され、多くの人出で賑わうのだが、この季節に訪れているのはスキー客ぐらいのもので、オープンしているカフェやレストランもそう多くない。中には、冬季は木工職人やスキー・コーチに早変りする店主もいるくらいだ。
山荘の庭もまだひっそりと静まり返って、倒木の洞穴ではリスやヤマネが冬眠中だろう。厚い毛皮を着た野うさぎや狐だけが、雪の上に点々と足跡をつけて餌さ探しに歩き回っているかも知れない。でも、“冬来たりなば春遠からじ”とか、分厚く降り積もった腐葉土の下では、もう蕗のとうが頭を出す準備をしているはずである。

山荘開きはいつも3月末頃だが、クローズの時に十分念を入れて水抜きした積りでもどこかしら見落としがあって、凍結で蛇口が破裂したり、ボイラーから熱湯が出ないなどということも再三ある。何年経っても、その年初めて山荘に向う際には常に不安がつきまとう。と、何だかんだ言っているうちにあと1ヶ月ちょっとでその時期になる。今年は果たして大丈夫だろうか。
ここ横浜の家の庭にも今冬は何度も霜柱が立ち、寒い寒いとぼやくことが多かったが、このところ枯れ芝に青い芽がまじるようになり、梅の小枝が角ぐみ、木蓮のつぼみも膨らんできた。すぐそことまでは行かないが、着実に春は近づいてきているようだ。

2月は短い。トリノ・オリンピックが終ると間もなく3月。新たな春からまた次の冬を迎えるまで、時々清里の山荘を訪れては、このブログから八ヶ岳高原の季節感を発信しよう。

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