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2006年1月17日 (火)

ダイレクトの力

企業に所属しフルタイムで仕事をしていた時は、新年度の抱負というものは予め前年の秋頃には決めておかなければならなかったが、一人で仕事をするようになってからは、誰かにそれを発表する責任があるわけではなし、気楽なもの。さて今年は...と考えるのは、実際に年が明けてからだ。本の出版を控え最終校正などでシャカリキになっていた昨年の正月とは違い今年は程よい余裕があったので、何に取り組むか決める前に、昨年末からたまっていた内外の情報誌やEニューズレターに集中して目を通した。そこで感じ、考えたことを、ひとつふたつ。

やや時期遅れの話題になるかもしれないが、DMA(米国ダイレクトマーケティング協会)は昨年10月の年次大会から、“Power of Direct ----Relevance, Responsibility, Result”というスローガンを掲げている。日本の業界誌などではこれを、“ダイレクトの力――適切・責任・結果”という抽象的な言葉に翻訳しているが、私は勝手に、もうちょっと深読みをしている。“パワー”と言っているからには、これらは、「問題を見極め適切に対応できる能力」、「義務・責任を履行できる能力」、「成果・効果を明確にすることができる能力」と解釈できるのではないかと。
 これらはとりもなおさず、ダイレクトであるとないとを問わずマーケティングすべてにおいて求められる必然的な要素だと思うが、“ダイレクトであることこそがそれに最も寄与する力になる”というのがDMAの主張だろう。
自分も昨年来からの著作や寄稿や講演の中で、「顧客中心・情報化というダイレクトマーケティングの基本原理の実践が今日のあらゆる企業のマーケティングには不可欠」、「ダイレクトマーケティングこそ時代を牽引するキー・ビジネスシステム」などと言い続け、ダイレクトマーケティングを巨視的かつ汎業種・業態的にとらえることを主張してきた。牽強付会になるかも知れないが、その意味でこのDMAの宣言は、我が意を得た気がする。

マーケティング・ジャーナリズム的な見方からすると、「ダイレクトマーケティング」という呼称にはもはや新鮮な魅力がないらしい。あれだけ喧伝された「CRM」にしてからがそうだ。人によっては“もう死んでしまった”との極論もある。だが私はそうは思わない。新世代のマーケティングは、ダイレクトマーケティングのDNAなしには成り立たないし、たとえそれを何と呼ぼうと、ダイレクトマーケティングという原理とシステムは、その中での重要性を増し続けるだろう。
だから私は、それを何か新しい概念でもあるかのように言い立てたり、受けを狙った新しいネーミングで呼んだりすることはせず、ともあれ市民権を得ているダイレクトマーケティングというビジネス用語に基づいて、「ダイレクト・リレーションシップ・マーケティング」とか、「マクロ・ダイレクトマーケティング」と呼んでいる。もし真にピッタリした新しい名前があるとすれば、それは実態に基づいて後からついてくるだろう。
 
本題の前置きが長くなってしまったが、今年取り組みたいと思ったのは、ソフトカバーすなわち新書版くらいのダイレクトマーケティング書の執筆だ。呼称や解釈はどうあれ、DMAのスローガンに掲げられたようなダイレクトマーケティングの要素を取り入れないマーケティングは今後あり得ないだろうし、学生も含めた広い裾野を構成するこれからのマーケターに、ぜひ、それについての正しい認識・知識を得るための基本書を読んでもらいたいと考えたからである。

昨年の「体系ダイレクトマーケティング」の最初の4分の1くらいは、実はそのつもりで書いたのだが、結果として全体で470ページ、4,200円の大冊になり、個人用には手が出にくいものになってしまった。日本ダイレクトマーケティング学会賞をいただいた際のパーティーでも、上智大学の田中先生や早稲田大学の亀井先生をはじめ諸先生方から、学生の教科書用としては、価格千円を切る新書版くらいが望ましいというアドバイスを受けた。
意欲をそそられるテーマである。単なる版型の置き換えではなく、それをベースにはするが新しい情報・知見も加えもう一度書き直してみたい。1年半パソコンを叩き過ぎて腱鞘炎になり、まだ治ってもおらずイテテテと苦しんでいるというのに、何と因果な性分かと我ながら思う。出版社も何も、考えても決めてもいるわけではないが、ここで宣言してしまったからには、もう引っ込みがつかない。えーい“ダイレクトの力”だ(意味不明)。こうなったら、「体系ダイレクトマーケティング」は1社に1冊を期待して、新書版はマーケター1人に1冊を目指すゾ!

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コメント

楽しく読ませていただきました。
小生も4~5年前小海線で八が岳の麓(確か野辺山)の何とかという名の当時西武が経営していたホテルに泊まったことがありましたが、周囲の林の紅葉の素晴らしさを堪能しました。

小生、今年の夏には、キューバへ行く予定にしています。

投稿: 井上二郎 | 2006年2月26日 (日) 01時33分

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